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おめでとうは、誰にとって?(受視点)
おめでとうございます!!
この度 中嶌 充様(ID:503190)は
「篠本 巡様(ID:504212)の期限付き交際権利にご当選致しました。」
権利内容
交際期限:3ヶ月(なお開始は20XX年7月1日~8月末迄に開始する事)
交際期限終了後の交際延長は、本人同士の意思による。
期間内における権利
・個人情報の共有
・両手、顔、両腕への接触(ただし緊急時を除く)
なお、権利を譲渡、売却する事を固く禁じます。
※期限内に開始されない場合のペナルティーは篠本巡様の意向に添う事となります。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「え・・・は?」
送られてきた手紙に、中嶌充は一瞬意味が解らなかった。
気候変動により、一時人口は激減。近年では、医療、科学の進歩により性別を問わず妊娠する事が可能になった。そうなると今度は、意中の相手をめぐって争いが起きる様になった。
それを、解消すべく政府発案の施策が「交際権」の抽選だった。
これは、過去10年~現在迄の人間関係から本人が希望する年齢を申告する事で、相性の良い相手へこの様な通知が届く。抽選される相手は、顔を知って居る位の知り合いから、中の様な場合もあった。
「なんで?」
そもそも、アタルは抽選に応募もしていなければ、申告もしていない。
そして、この相手の名前には嫌という程、見覚えが有る。
「篠本 巡」は、この施策の要でもある、相性判定をするコンピューターシステムを生み出した企業の御曹司だった。
そして、10年以上続く腐れ縁の同級生。
幼稚園、小学校とクラスでは常にカースト上位で、高校、大学は彼の背景に有るステータスから、更に彼の周りには人が集まった。
そんな、彼の「交際権」がなんでココに?
篠本巡とは、腐れ縁とは言うが、高校3年目にして初めてクラスが一緒になった位だった。
高校では、篠本が何処か教室でも移動しようモノなら、取り巻きも一緒に移動していた。
「なんか、大名行列みたいだよな。それか、あれ何とかの巨塔のやつ。」
「教授回診だっけ?」
そうそれ、と教科書を借りに来た同級生にあいずち打てば篠本が教室に入って来た。
「あ、中嶌、オレもう行くわ!」
「お、おう。終わったら返せよ~。あ、落書きすんなよ!」その声に、答える様に笑顔で手を挙げた彼はなんて名前なんだろうか?とふと思った。
「・・・落書きって?」篠本が隣の席に座って、聞いてきた事で、まぁいいかと思い直した。
高校に入って、初めて篠本とは同じクラスになり、意外にも良く話しかけられる様になった。
「あー、現国の教科書忘れたっていうから。」
「そう・・・、仲良いんだ。」
「いや、たまたま近くに居て、聞かれたから。」
「へぇ・・・。」と答えた篠本の声が、低かった気がするが、そこまで会話した事が有るわけでもないから、喉の調子でも悪いのかと思い、勉強の糖分補給に持ち歩いていた飴を一つ、篠本の机においてやった。
「・・・何?」
「ん? 疲れてそうだから、糖分。」
机に置かれた、三角のイチゴミルクの包みを、怪訝そうな顔していた篠本に、そう伝えれば「・・・ありがとう。」と律儀に礼が返ってくる。
「この飴、好きなんだよね~。シリーズで、レモンとブルーベリー有るんだけど、やっぱイチゴが好きなんだよね~。」そう言って、自分もポケットから出
して一つ食べると、篠本も包みを開けて食べた。
・・・いや、イチゴ似合わな!!!
スッと通った鼻筋に、キリっとした顔立ちは、男らしいのに男臭くなく、薄荷や珈琲が似合う感じだった。対照的に、オレはくっきり二重に、ニキビの出来にくい肌は、髭も生えにくいのか、ツルツルで、年齢よりも下に見られる事が多かった。その上、篠本は同じ学生机なのに足がはみ出る程の長身で、スポーツも万能。オレはというと、3年間で大きくなると思って買った制服はまだ余裕があった。
先月の修学旅行は、毎年、海外だったのが、何故か今年は国内の温泉地になり、生徒から行く前はかなり不満の声もあったが。いざ行けば、豪華客船で観光地を巡り、ついた旅館は部屋付き風呂に食事の豪華さで、生徒達はかなり満足した修学旅行だった。まぁ、篠本の裸体が拝めるとかで盛り上がってたっけ・・・。
結局は、篠本は部屋の風呂を使っていた。
「ふぅ~。 篠本もさぁー、一回ぐらい、大浴場行ってみたら?」
頭をタオルで拭きながら、部屋に戻ると丁度、部屋風呂から出てきたばかりの篠本が備え付けの冷蔵庫から水を取り出している所だった。「・・・。」アタルを一瞥すると、そのままボトルを開けて水を飲み干した。ゴクゴクと動く喉ぼとけに、拭ききれてなかった水滴が篠本の首から鎖骨へと伝う。
・・・同い年には思えないよなぁ。
確かに、こんなのが大浴場なんか入ったら、周りが大欲情しかねないか・・・。
思わず、不躾な視線を向けてしまう。
「・・・何?」
首にタオルを掛けたまま、腰にはバスタオル一枚。
二人部屋とはいえ、その恰好はどうなんだ?と思わなくも無いが、そんな恰好ですら、ギリシャ彫刻の様だな、と感想が出る程、篠本の身体は整っていた。
「え、あ・・ゴメン。ってか、さっさと着替えないと湯冷めするぞ? オレ、下で飲み物買ってくるから。」
タオルを巻いたままだった、篠本から目を逸らし、窓際のベットの上に用意してあったジャージを羽織った。
「え・・・、待っ・・・。」
篠本の横を通り過ぎようとした瞬間、思わず手がぶつかってしまった。
「「!!!!!!!!!!!!!!!!」」
ぱさりと落ちたタオルに、場が凍る。
「おわぁぁぁぁあ・・・・、のみもん買ってくる!!」
「え・・あ、ちょっ!!」
慌ててタオルを拾っていたのが閉まるドアから見えた気がしたが、さっき目にした大蛇にアタルはそれどころでは無かった。
・・・オレの倍・・・いや、三倍は・・・。怖ッ!
思わず、漏れ出た溜息に、後ろから肩を叩かれて悲鳴が混じる。
「ひぃ!」
「ちょ、ビビらすなよ!」
「え・・・あぁ。隣のクラスの・・・。」
「おう!何か飲むのか? いつもの礼に、おごるよ。」
「え?マジで!! 部屋に財布置いてきたから、どーしようかと思ってさ~。」
「案外、中嶌って、おっちょこちょいなんだな~。髪もまだ濡れてるし。」
濡れたままの髪を、摘ままれる。買ってもらった飲み物を飲みつつ、中嶌はこの同級生の名前を思い出そうとしていた。あれから、何度か教科書を借りに来るようになったこの男の名前がどうしても覚えられなかったのだった。
「なぁ・・、中嶌はさ、抽選の応募ってさ・・・。」
「ん? ああ、交際権だっけ?」
「そう!それ!! よかったら、その・・・」
「交際権」は完全な抽選と言われるが、本人達同意の署名の元、申請をした場合「抽選」ではなく期限付きの交際権が発行された。「交際権」を持たないで、交際をする事も可能では有るが、国が「権利」を保障し、各種特典割引が受けれるので学生の間では、一種のステータスになっていた。
急に、後ろから肩を掴まれ、思わず飲んでたボトルを落としてしまう。
「なんの話? もうすぐ、消灯だって。」と、頭上から一気に湯冷めをする様な冷えた声が聞こえた。
「え、ああ。それじゃ、オレも部屋戻るわ! またな中嶌。」
「あ、うん。ジュースありがとう・・・。」
若干顔色の悪くなった同級生に手を振りつつ、落したボトルを拾うとそのままそのボトルを取り上げられ、ゴミ箱に捨てられ、思わず「え?」と声が出てしまった。
「・・・ゴメン。もう、殆ど中入ってなかったから。飲むなら、新しいの買うけど?」
「え・・・あー。大丈夫。」
そ、それよりも・・・、肩から腕外してほしいんだけど・・・?と思いつつも、無駄に体格の良い篠本に肩を抱かれる様に歩かれては、コンパスの差なのか寄り縋る感じで部屋まで連れていかれた。
部屋に入っても、篠本の腕は中嶌の肩をがっちりと拘束していた。
「中嶌は、大平落 (おおでらおとし)と交際するのか?」
「へ? なんて?」
思わず聞こえてきた名前に脳がついていかなかった。一瞬、スンとした顔に篠本がなった様だったが、気を取り直したのか、篠本は話をつづけた。
「・・・さっきの彼。交際権の話してただろ?」
「ああー。なんか、そんな話してたな~。」
「・・・二人で、申請しに行くんじゃないのか?」
「え、なんで?」
「・・・いや、別に。ただ、そう聞こえた気がしたから・・・。」
拘束が解けたので、そのまま洗面台の方へ向かうと、篠本もついてくる。
備え付けのアメニティから歯ブラシを見つけ、篠本にも手渡した。
「まぁ、オレは学生の間は、申請も申告もしに行く気ないからなぁ・・・。」と、歯ブラシを咥えた所で、先生の点呼が入った。
・・・そいや、あの時、篠本は何か言いかけた気がするが、今の今まですっかりと忘れてた。
あーーーー、大蛇の事も思いだしたわぁ・・・。あと、あいつ。おおまえだ?おとしまえだ?アイツ、元気してっかな?
手にしてた通知を、封筒にしまい、そのまま中嶌は先月入社した雑貨屋へ出勤したのだった。
大学在学中にバイトしていた雑貨店で、そのまま就職をした形だが、仕事にはやりがいを感じていた。
店のオーナーが買い付けてきた世界中の雑貨や、流行りの小物。そこで、SNSやオンラインショップの担当していた。それが、半年前の事だった。既に季節は巡り、肌寒さが今は恋しくなるような茹だる暑さの中、アタルの職場へ一通の電報が届いた。
「なぁ、中嶌!お前宛に電報着てんだけど!!」
「え?電報??」
「オレ、電報なんてひい爺さんの葬式の時位に見た位だわ。」
そいって、受け取った店長が手渡してきた。
「いや、オレも初めて受け取りましたよ・・・。」
電報の中を見ると、ただ一言。
「ムカエニイク」とだけ。
「え・・・なにコレ、怖ッ!!!」パタンと思いっきり閉じて、ゴミ箱に居れようとしたところで
ふと差し出し人が気になった。そこに印刷されていた名は、「篠本巡」。
そこで、漸く半年前自分に届いた通知の事を思い出したのだった。
「・・・あー!!やっば、店長!「交際権」って、期限切れるとどうなるか知ってますか!?」
「はぁ?そんなの、勿体なくて誰もした事ないだろうよ?!」
そう言った、店長は2年前に「交際権」を申請して、1年の交際期間の結婚した新婚さんだった。
「店長のトコは、奥さん女性だから気にならないんですよ!」
そう、人口は減ったとはいえ、同性婚はやはり少数派で偏見は無いが、自分があの篠本と恋愛をしている事が、想像が出来なかった。
「って、事は中嶌のとこは、同性だったのか?」
「・・・、大学まで一緒だったイケメン大蛇です。」
そう、大蛇!通常時で有ろうあの状態で、あのサイズ。一瞬とは言え、あの通知を貰って以来、何度か夢に出てくるようになっていた。
「・・・なにそのイケメン大蛇って。」
店長の呆れた声に、ハッと意識を戻しとりあえず、届いた電報は捨てずにロッカーへとしまったのだった。そもそも、高校もだが大学も何でだか、篠本は同じキャンパスにいた。流石に学部は違ったが、取り巻き達に囲まれながら、学食やカフェテリアに居たのを何度か目撃した事があったし、20歳のアルコール解禁祝いで、高校の同級生主催の飲み会にも篠本は参加していた。
ドレスコードは、大人の服装と言う事で、男はスーツが多く、女は結婚式の二次会の様な恰好をしていた。そこに、グレーのスーツで登場した篠本と共に、会場の空気が一瞬ピリつく。「え!篠本君じゃん!」「本当だ!!幹事偉い!」と浮足立つ女達に、就活に有利になればと近寄りたい男達。そんな輪の中に、変わらず人当たりの良い笑顔で対応していた。
アタルはというと、会場の料理近くでのんびりと過ごしていた。
ウエルカムドリンクのシャンパンを片手に、何から食べようかなんて考えていると、後ろから声を掛けられたのだった。
「な、中嶌!久しぶりだな!」
「お、おー! 久しぶり!」
馴れ馴れしく話しかけてくるこの男は、誰だ?と一瞬悩むが、すぐに名前の何度も思い出せない同級生だと思い出す。そのまま、互いに手にしていたシャンパングラスで乾杯をする。
「中嶌は、篠本と同じ大学だっけ?」
「あー、そうだけど・・・学部違うから、取次とか出来ないぞ?」
「え?あー、違う違う! オレは、中嶌と仲良くしたかったから・・・。」
「えッ、そうだったのか?」
「そうだよ!高校の時も何度も、教科書借りたりさー・・・。」
「あはは、あれもそうだったのかよ。」
「そうだよ!」
「オレ、ずっとお前はよっぽど忘れモノが酷い奴だと思ってたわ。」
「うわぁー、最悪じゃん。」
手にしたグラスが空になる頃には、会場の空気も和やかなっていた。
「なぁ、中嶌このあと何処かでゆっくり飲まないか?」
料理を取りつつ、2杯目に口を付ける。
「んー、そうだなぁ。」
「オレ、つまみの美味い居酒屋知ってるし。」
「おー、なんだお前結構飲める方なのか?羨まし~。」
そう言ったアタルは、既に最初のシャンパンで、身体がフワフワしていた。
高校時代よりは少し背は伸びたが、見た目の印象はあまり変わらず、今だに守ってあげたい、甘やかしたいだの言われていた。そんなアタルの、目元はアルコールでほんのりと色付いていた。
「な、中嶌・・オ、オレ・・・。」
真っ赤な顔をして一歩前に出てきた同級生との間に割り込む様にして、さっきまで囲まれていた篠本が、中嶌の視界を遮った。
「中嶌、大丈夫? 飲み過ぎなんじゃ無い?」そう言って、持っていたグラスと、篠本の持っていたグラスを交換される。
「それ、口付けてないから。すっきりするよ。」
「え~、別にシャンパンで良かったんだけど・・・、あ、美味い。」
手渡されたグラスに口を付けると、ライムの香りがする炭酸水だった。同じように、グラスに口を付けた篠本に、はらりと落ちた前髪を、篠本に耳に掛けられる。
「中嶌は、アルコール弱いんだね。」
そのまま、篠本の指が首筋を擽った。
「ん・・。くすっぐってーよ。」あいている方の手で篠本の指を払いのけると、さっきまで喋っていた同級生の姿が見えなくなっていた。
「あれ?」
「どうかした?」
「いや・・・さっきまで・・・。」
「さぁ?帰ったんじゃないかな? 彼と何か約束でも?」
「あー、なんかゆっくり飲みたいって・・・まぁ、オレはもう眠いし帰るかな~。」
ふぁぁと思わずあくびがでる。
その拍子に、膝が抜けそうになり、篠本が咄嗟にアタルを支えた。
「大丈夫か?飲みすぎ?送ろうか?」
「良いって、お前の取り巻き怖ぇーし。」
「だから、だよ。オレもあれは怖って。ここから抜け出す口実くれない?」
支えながら、アタルの耳元でそう悪戯に囁く。
「なら、お言葉に甘えようかな。」酔いと眠気で、表情が緩みっぱなしのアタルは、篠本に少し凭れながら、頭上にある篠本の耳へ同じ様に囁いていた。つもりだった。
少しばかり、距離が近かった所為で、アタルの唇が篠本の頬を掠っていた。
凭れたままのアタルを抱え込む様に会場を後にしたのをアタルは後日、幹事にネチネチと嫌味を言われたのだった。
・・・そう言えば、あの時気が付いたら部屋のベットで寝てたな。
はぁ、・・・一度は連絡しないとだよなぁ。
なんて、考えは甘かったらしい。
「オレも、聞きたいかも。」
雑貨店内にいつの間にか現れた、スーツの男に店長が「いらっしゃいませ」と声をかけたが、男の顔を見て吃驚する。
「篠本巡・・・え??本人?」
「初めまして。ここの店長さんですよね?」爽やかな笑顔で手を差し出せば、店長もそれに習い
「え、あ・・はい。店長の堂島です。」と、その手を握った。
「・・・篠本。お前、仕事じゃないのか?」
「中嶌が、一向に連絡くれないから、迎えにきた。」
その言葉に、届いた電報を思い出した店長は「あー、イケメン大蛇!」と、篠本に言い放っていた。
「・・・は?」
地を這う様な低い声が、狭い店内に響く。そのまま、篠本の腕がアタルに伸びる。
「中嶌?何、イケメン大蛇って?」
篠本の声が、耳元で響く。
いや、本当このイケメン何なの?人の耳元で囁かないと、会話出来ないのか?
しかも、腰に響く低音が余計に質が悪い。
はぁ・・・。
溜息を付きながら、首に巻き付いてた腕を掴んで、店長に「早退します。」と告げ、ロッカーの荷物を持ってくる。
年貢の納め時ってやつかぁ・・・。
「あ・・・、さ、篠本・・・ちょ・・まっ・・・」
アタルの勤め先の雑貨店から連れて来られたのは、篠本の住むタワーマンションだった。
部屋に入るなり、篠本に顎を掬われ中嶌の唇が貪られる。
何度も何度も角度を変え、口腔内には肉厚な舌が捻じ込こまれる。
「ん・・ま・・って・・・って・・・。」
息も切れ切れに、言葉を紡ぐも、片っ端から飲み込まれていく。
ドンっと、思いっきり篠本の胸を叩くと、一瞬唇が離れる。
「・・・逃がさない。」と、また噛みつかれたが、また思いっきり胸を叩いて抵抗すれば、篠本の唇は、中嶌の首筋に噛みつく。
「いっ・・・! も・・・、にげ・・ないから・・・ちょっと、息させろよ・・・。」
その言葉に、ちゅっちゅっと、のけぞったアタルの首筋に篠本が音をたてながら吸いつく。
「ん・・あ・・・。」
耳の後ろ側に、チリっと小さな痛みの後に、ぬるりと舌が這う。
「中嶌、中嶌・・・。」
篠本の大きな手が、服の中へと入って入り込んでくる。
「んん!!」
綺麗に整えられた指先が、小さな胸の飾りを摘む。
ホント、なんでこんなイケメンが、オレなんかの乳首触ってんだか・・・。
身体を散々、指で舌で弄られ、ぐずぐずにされながら、アタルはあの時の事を思い出していた。
修学旅行最終日の夜。あの日、アタルが部屋風呂に入っている所に、篠本は入ってきたのだった。
「な、何だよ!」
「何って・・・、最後だし裸の付き合い?」
「・・・はぁ? だったら、お前、下の大浴場使えば良かっただろ・・・。」
「・・・オレは、中嶌と入りたかったんだけど駄目か?」
「って、もう脱いでんじゃん。・・はぁ。好きにしなよ。オレも好きにするし。」
アタルはちゃぷっと、湯船に浸かって、洗い場に入ってきた篠本の身体を眺めていた。
「見過ぎ。」
「うわっ。」
シャワーの水を掛けられ、お返しにと湯船のお湯を掛けた。
「ちょ!やめ!!」
「そっちこそ、シャワー止めろよ。」
そう言いつつもお互い、止めないでいたらすっかり身体が冷えて、結局二人して湯船に浸かる事になった。
「流石に、二人で入るには狭いな。」
「いや、篠本がデカいからだろ・・・。って、マジデカいよな。」
隣に並ぶと、手足の長さも身体の厚みも違った。それに、あの時一瞬だけ見えた篠本の大蛇も・・・と、思わず目線がタオルで隠されている部分へとつい向いてしまう。
クッ。
「な、なんだよ。」
「気になるなら、触ってみるか?」
何処か楽しそうに笑う篠本からの、中嶌の好奇心を擽る誘いだった。
篠本に向かい合う様に身体の向きを変えると、篠本に抱き寄せられる。
「ん・・はぁ・・・っ」
篠本の大きな手で纏めてしごき上げられる。
「・・・中嶌、キスしても?」
さっきから、篠本の視線を感じていたが、中嶌はそれに気が付かない振りをしていた。
吐息が掛かる程の距離に、身体は密着しているが、不自然に逸らされる。
「ん・・・冗談だろ・・いっ!!? んんッ!!!!」
中嶌の首元に思いっ切り篠本が歯を立てた。同時に、篠本の掌に中嶌は果てたのだった。
篠本の上から、重だるい身体を上げる。
「はぁ・・・。噛むなよなぁ・・・。」
自分の上から、どこうとした中嶌の手を掴んだ篠本の目にはまだ、情欲の色が燻っていた。
「・・・何処に行く気だ?」
「えー、もうオレ出ないし、コレ痛いんだけど・・・?」
「・・・、後で手当てするから、もう少し付き合え。」
「う・・わぁ! ん・・・んぁ。」
噛みつかれ痕を、舐められ、吸われて鬱血した痕が何個も付く。
中嶌の手は、篠本を握らされ、篠本自身と一緒に上下に動かし始めた。
・・・うわっ。オレのよりも、重!!イケメンでも刺激すれば勃起するんだなぁ・・・。なんて、呑気に想いながらも、篠本を刺激した。
「・・ふ・・ん・・。そう・・くっ。」
うわぁ・・・、イケメンはイキ顔もイケメンかよ!
「・・・あんま見るな。」
「減るもんじゃないじゃん。」
「・・・はぁ。ほら、流すぞ。」
シャワーで、残滓を流す。後ろから、篠本に何か言われた気がしたが中嶌はドライヤーの音で聞こえていなかった。
あの時、アイツは何って言っていたんだろう?
不意に後ろから不満気に、耳朶を嬲られ、どこか遠くへ行き掛けた意識を戻される。
「はぁ・・、こんな時に、考え事か?本当にお前には、焦らされる。」
「んぁ・・・。じ、焦らしてなんか・・・。」
グチュリと、後孔にいつの間にか垂らされたローションと共に篠本の長い指が差し込まれる。
「あ・・あぁ・・。」シーツをを掴んで違和感をやり過ごせば、指が増える。
無意識に噛みしめてたのか、唇にも指が這う。
「こら、口噛むなよ。」
「や・・声、はずぃ・・。」
「だから、聞かせろってんだ。」
「あぁ!! ちょ・・・っと、ま・・・まって。」
グチュグチュと粘度の有る水音と共に、指は引き抜かれ、代わりに熱杭が押し当てられる。
「もう、待たない!!」
「あぁぁん!!」
一気に中嶌の中へと穿つ。その衝撃に、背中が弓反るが背後に居た篠本に抱き留められ、そのままゆっくりと中が馴染むで、抱きしめられる。
「ん・・・、篠本・・・もう、動い・・て。」
「やだ。」
「えぇ・・・。」
「中嶌の中が、オレのにキュウキュウ吸いついてるし、奥に煽動的に動いてるの気持ちい。」
「ちょ・・・っ!!」
「あ、今、締まった。」
「ちょっと!!! 恥ずかしいから!! あ!!」
そう言って、また中が締まったのが、アタルにも解ってしまった。
しっかりと時間を掛けて馴染まされた、篠本の大蛇の形がはっきりと中で解る。
「あー、もう!! 巡、早く動いて・・・、奥気持ちよくして・・・?」
「!! アタル・・・もう、絶対逃さないからな。」
「ぁあああ!!!!!!!!!」
一気に最奥迄入り込むと、激しい抽出に中嶌の前が揺れる。
ポタポタと蜜を零しながら、シーツに擦れそれすらも刺激になる。ガクガクと揺さぶられ、熱い飛沫を感じた。
濡れたタオルで、中嶌の身体をさっとふき取る。
本当は、風呂場に運びたかったが、起してしまうのは本位では無かった。
中嶌の左薬指に、篠本の誕生石が光輝いた。
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