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警察突入(零(マルさん)視点)
駐車場で、高雅が倒れているのを見かけて、刑事の勘が告げていた。
倒れている高雅を抱き起こし、携帯で連絡をしようとする手を止められる。
「こう・・・が? 」
「だ、だめだ・・・」
「高雅? どこに行くんだ!!」
殴られた頭を押さえながら、エレベーターへ向かう高雅を追いかけながら零は、車に残っていた部下に連絡をした。
「高雅、待て!! オレも行く!!!」
「ああ。人手は多い方が助かる・・・。」
エレベーターに乗り込むと、高雅が壁に寄りかかる。
殴られた所から、血が流れ落ちるのを、スーツのポケットから取り出したハンカチで押さえると、痛みに一瞬高雅の顔が歪む。
「大丈夫か?」
「ああ・・・。悪いな。」
「それよりも、犯人の顔は見たのか?」
「いや・・・だけど、あいつだ・・。」
「・・・あいつ?」
高雅の言葉を繰り返す。
今度は胸ポケットから写真を取りだし、高雅に見せる。
「この男は、高雅の言うあいつか?」
「あ、ああ。けど・・・なんで、マルさんが?」
「こいつは、オレのヤマだ・・・。」
「・・・マル・・・さん?」
その時の零の顔は今まで高雅が見たことの無い顔だった。
あの医師の部屋の前に着くと、先に零の部下達が着いていた。
「マルさん、全員配置につきました。」
「ああ、合図と共に突入する。 いいか、人質が中にいることを忘れるなよ!!!」
「「「「はい!!!!!」」」」
「高雅、お前も無茶はするなよ!」
高雅の背中をポンと叩いて、零は突入の準備をした。
あいつの顔を見た瞬間、ついにこの時が来たんだと思った。
まさか、高雅にまであのクソ野郎は傷つけていたとは・・・。
突入の際に、ベットの上の子が見えたが、高雅がすぐに着ていたジャケットを被せたまま、抱きしめているのが見えた。
その姿に安心して、バスルームに走って行けた。
バスルームで、拘束されていた音羽先生の姿を見て、余計に頭に血が登ったのがわかった。
関係ない先生まで・・・。
それにしてもこの男は耳障りな声をずっとあげている。
「おい! そいつの口を塞いで、さっさと行け。」
音羽を抱き上げたまま、部下に命じた。
ああ、高雅のあの顔は初めて見る。
「高雅、大丈夫か?」
「!!」
「あー、先生は大丈夫だ。」
それでも、青ざめた顔をしたままの高雅に声をかけて先に下へ降りて行った。
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