むらさきの森

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歳月が流れ、‥‥‥コトハちゃん、コノハちゃんとも、沢山、手紙をやりとりした。 きっと、また会えると信じて‥‥。 また、むらさきの森へ行くときは、勾玉を持っていくからね、、、と約束した‥‥。 私は家族と、幾度と引っ越して、そして、またこの街へ戻ってきた‥‥‥。 駅の近くの神社でお祭りがあると聞いて、なんとなく出かけてみた‥‥久しぶりに、あの道だと、、、記憶が蘇った。 むらさきの森の方へ歩いていくが、全く、森がなく住宅街へと変貌していた。 それはそうだ、、、あれから何年経っているのか、考えても、森を残して街並みが変わることなど、あまり聞いたことがなかった。 私が知っている、むらさきの森は、もうなくなっていた。 あの日、コトハちゃんに、サヨナラは、亡くなった時の言葉だと言われたことを、思い出した。 『サヨナラ、、、むらさきの森‥‥コトハちゃん、コノハちゃん、、、今、どこですか?元気ですか?』 と心の中で伝えた‥‥すると、祭りの太鼓が、こっち、こっちと、呼んでいるようで、1人、祭りへと向かった‥‥。 『久しぶりに、お祭りにきたなぁ〜』と、祭りの屋台をのぞきながら、小学生の頃を思い出していた‥‥ ‥‥昔は、お祭りで、金魚すくい、スーパーボール、わたあめ、水ヨーヨー、お面などを買ってもらえて、喜んでいた‥‥。 ふと、お祭りでは、あまり飲食をすることがなかったことを思い出した‥‥『りんご飴、、、買おう!』 食べてみたかったのだ‥‥『あまっ!』‥‥甘いのは想像できていたが、本当に甘い‼︎ りんごまで到達するのに、時間がかかった。 お祭りの、金魚すくいで、1番、思い出すのは、持ち帰った金魚が、思いの外、大きく育って、見た目は金魚だが、別次元の金魚になってしまい、 金魚鉢から、それなりのサイズの水槽へ移し、水槽も2度ほど変えた‥‥その、水槽の水換えを、父がやっている姿が、 原始的で、笑ったことがあった‥‥水換えのポンプなのか、何かあるのかもしれないが、その当時、手っ取り早く、 水換えをするためか、金魚をバケツへ移し、ホースで水を吸い上げていた父が、間違って水槽の水を飲んでしまい、咳き込んでいる姿に、 〝笑ってはいけない”ではないが、我慢出来ず、労う前に、大爆笑してしまい、笑ったことで、叱られるのかと思いきや、 むせながら、父自身も、大笑いし始めて、「失敗だったなぁ〜」と言って、一緒に笑った思い出があった‥‥。 それと、友達は、亀を買って、残念なことに、次の日、そのカメは天国へ逝ってしまい、納得出来なかった友達は、 次の日も、祭りへ行き、その亀を売っていたおばさんに、そのことを伝えて、違うカメを、出来れば、もらえるつもりで、 でかけたが、「あ〜、残念だったですね、、、ご愁傷様でした、、、きっと、昨日が、生まれてから9999日目だったんだね‥‥」 と、想定外の言葉に泣いて帰ったと聞いたこともあったなぁ〜‥‥‥。 懐かしくて、少し、にやけて歩いていたら、「元気そうだね!」と話しかけられた。 振り向くと、見たことがあった、懐かしい顔だった‥‥『少年野球君だ!』 「よおっ!やっぱり、お前だったんだなぁ〜、戻ってきたんだぁ〜見覚えのある顔だと思ってさっ!」 と、懐かしくて、話に花が咲いた‥‥。『むらさきの森のこと知ってるかも』、、、と、初めて、名前を呼んでみた‥‥ ‥‥これだけ、話をしておいて‥‥ 「わたる君、、、だったよね?」 「お前、初めて、俺の名前を読んだなぁ〜」と、照れなのか、なぜか爆笑している‥‥ 『面白いことは言ってないのだが、、、』 『まっ、いっか』と流して、森のあたりの開発されていた頃の話を聞いてみた‥‥ ‥‥「うち、近いんだよぉ〜、、、あの辺り、長いこと工事してたり、家がどんどん建っていったんだよなぁ〜」 「イチョウの木だけは、残っているけど、あれも、切り倒されるんじゃないかって、暫く問題になってたんだよなぁ〜」 『そっかぁ〜‥‥』と、その当時の想像がついたのもあって、悲しくなった。 『今日は、もう暗いし、明日、また、行ってみよう』と、帰ることにした。 「またなぁ〜」と、少年野球君と分かれて帰宅する道で、自転車に乗った大学生風の男性と、すれ違いざまに目があった‥‥。 『あれっ?』と思ったが、止まることなく、振り向きながら、誰だったかな、、、と思い出せず、、、考えながら歩いていた‥。 祭りの帰り道、人で、道路は混んでいた‥‥その時、後ろから声がした‥‥‥ ‥‥「アヤちゃん⁉︎ ですか?」‥‥と、男性の声だった、、、振り向くと、さっき、すれ違った自転車の大学生風の人だった。
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