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俺達に会釈してから足早に歩く河村さんの後ろ姿が暗闇にどんどん小さくなっていく。   今日貸すと約束していた本と古い映画のDVDを忘れてしまった。 帰りがけに家に取りに寄ってから送る予定だった。 そして最後に自分の気持ちを話そうと思っていた。 呆気にとられている場合じゃない。 ここで帰したらきっともう会えない。 元カレに傷付けられ俺と同じ考えをもつ彼女は、俺と美和に遠慮して2度と会わないようにするだろう。 慌てて追いかけて腕を掴んだ。 『待って、帰らないで。 わかったと思うけど、元カノだよ。 2度とこんなことしないように話しをするから、一緒にいて。 お願いだ。』 河村さんは少し潤んだ目を見開いて、驚いていた。 俺はガラにもなく必死になっている自分に驚いた。 長く感じたけど…2.3秒俺の目を見た後『わかった。』と小さく言った。
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