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『誠、久しぶり。』
マンション前に車を停めて降りると、入口横の花壇に座っていた女性が近づいてきた。
美和…。
なぜ今さら俺の家に来るんだ。
驚いた後、怒りを通り越して美和の浅はかな行動に呆れ返る自分がいる。
なぜそんなに堂々といられるのだろう。
本当に未練は無いし、何も感じなくなったな。
そんな自分を再認識し、誇らしく思った。
『ここで何をしてるんだ?』
『会いに来たの。
話しがしたくて…。』
その時、助手席から河村さんが降りてきた。
車の窓が開いていたから、話しが聞こえたのか。
『あ、あの、桑田さん…。
私、電車で帰るね。』
そう言うと、俺と美和に向かって会釈し、早足に歩き出した。
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