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「やってもやっても仕事全然終わらないし……。ちょっと辛くて。元の部署なら仕事も慣れてるから。そっちで頑張りたいなとも思って」 夫の弱音を聞いているのに、彩乃(あやの)ちゃんの顔がみるみる嬉しそうになっていく。 これはプロポーズを受けた時みたいな、心から幸せそうな表情だ。 「本当はね。そんなに無理して仕事してほしくなかったの。でもそれって私が寂しいからで。頑張ってる初樹(はつき)くんにはそんなこと言えなかった」 彩乃(あやの)ちゃんの頬を光が流れていく。 「本当は。一緒に夕飯食べてほしかった」 「俺もだよ。ずっと彩乃(あやの)とあったかいご飯が食べたかった」 「休みの日はね、一緒に指輪つけて買い物したり散歩したりしたかった」 「俺だって。彩乃(あやの)と指輪つけて手繋いで歩きたいよ」 そういえば指輪。 そうなんだよ。これは2人の絆だろ? 預けっぱなしはよくないんだからな?
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