耳触りたい

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 また、ヤツが来た。俺は、檻の中からヤツを睨む。そんな善人ぶって、近寄って来るな。  耳、絶対触るなよ。  友達の家に、ギズモが来た。家に遊びに行くと、ゲージに入れてくれるけど、ちょっと怖い。でも、耳が可愛い。  お、おい近づくな。俺のサツマ芋、狙ってんじゃ無いよな。カリカリだって、やらないぞ。  だからぁ、耳触んなよ。絶対。  ゲージの中なら平気。お名前はドルチェ。ドー君って友達は呼んでる。  お耳が大きくて、飾り毛が優雅ね。  おい、そんなにジロジロ見んなって。俺の水飲みたいのか? やる訳ねーだろ。  耳、絶対触らせないからな。  あ、ギズモが水飲んでる。大変。増えちゃうよ。  ドー君はギズモじゃ無い? 絶対違う? 決めたの誰よ。  もう寝るよ。構わないでくれよな。あんたの相手すんの、疲れたんだよ。まさか、俺のタオル狙って無いよな。  なんと、ギズモがエルメスのバスタオルに寝てる。生意気。どうせ知らずに使ってるなら、私のと替えてよ。 「もう、いい加減ドーを構わないで」 「だってぇ」 「平気なんだったら、ゲージから出すわよ。普段はゲージに入れて無いんだからね」 「そしたら、私が入るから」 「サイズ考えなさいよね」 「なんでギズモ飼うのよ」 「ドーはギズモじゃ無いからね。日中にお散歩行くし、お風呂だって入れるし、夕べも夜中にキャベツ食べてたけど、グレムリンになってないでしょ」 「じゃあ、ドー君はファービー?」 「あのね、ドーは犬。普通にペットショップで売ってた犬。犬が怖いからって、ドーを変な動物にしないでくれる?」 「本当に犬? 実家のジョンと随分違うけど」 「ジョンはシェルティ」 「お母さんはシュルテって言ってた」 「それは、方言」  あーあ、耳触わりたいなぁ。
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