3. クラス替え

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「そっか」  琴子ちゃんは笑顔になり、「なんか氷室さん、ちょっと偉そうだったね。詩織ちゃんの方がずっと可愛いと思うよ」と言ってくれた。 「ありがとう」  琴子ちゃんは優しいなと思ったが、ふと前にもこんなことがあったと思い出した。 「あんな人いなくなっちゃえば、詩織ちゃんが一番になれるのにね」  琴子ちゃんがぼそっと呟いたのを、私は聞き逃さなかった。  氷室さんのことや、琴子ちゃんの呟きに、なんとなくすっきりしないまま家に帰ると、リビングが賑やかだった。  高校生の兄が、学校の友達を連れて来ていた。 「詩織、おかえり」 「おかえり! 詩織ちゃん」 「ただいま。あ、マサさん、こんにちは」  驚いたことに、兄の親友のマサさんは髪の毛を金髪に染めていた。背が高くて肌が白く、顔も綺麗なので、金髪がよく似合っている。 「マサは将来、親の跡継がなきゃならないんで、今、自由を謳歌するしかないんだ」と、兄が前に言っていたのを思い出した。  マサさんは急に立ち上がると、私に近づきじっと見た。 「え? 何かついてます?」  私が聞くとふっと笑って、「ごめん、ごめん」と言い、私の制服の肩を触って、「獣に触った? ほら、毛がついてるよ」と何かの毛を見せてくれた。 「えっ?」  動物には触れていないので不思議だった。 「ありがとう。どうぞごゆっくり」  私は首を傾げながら、自分の部屋に行った。
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