4. 行方不明

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 下校後、私は昴太の家を訪ねて謝った。 「ごめんね。昴太の名前出しちゃって」  玄関に出てきた昴太に、私は昨日の氷室さんとのいきさつを話し、先生に聞かれて昴太の名前を出してしまったことを謝った。 「詩織のせいじゃないよ。氷室さんが俺に告白したって、氷室の友達が先生にチクったからなんだ」  氷室さんはあのあと、すぐに昴太に告白したんだ。ショックだった。氷室さんはとびきり可愛いから、昴太の反応が気になった。 「先生には『告白されたけどすぐ断って、氷室はわかったと言って帰ってった』って話した」 「えっ? 断ったの?」  意外だった。 「うん」 「でも、あんなに可愛いんだよ?」 「そうかな。詩織の方が可愛いけど」  昴太にそう言われて、私は真っ赤になった。 「あのさ、俺、詩織のことが好きだから。ずっと前から」 「えっ?」  ドギマギした。 「お前は俺のことなんて、ただの幼馴染としか思ってないだろうけどさ」 「そ、そんなことない! 私も昴太が好きだよ」  昴太が氷室さんの告白を断ったと聞いて、すごくほっとした。それは、昴太を好きってことだと気がついた。 「おっと、そこの二人、愛の告白は家に上がってからにしなさい!」  昴太のお母さんが顔を見せて笑ったので、私達は真っ赤になった。
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