5. 呪い

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 食欲がなく朝も食べずに学校へ行くと、クラスがざわざわしていた。 「あ、詩織が来た!」  私に気づいた男子が声を上げた。 「大変だよ! 昴太君が……」  女子が駆け寄って教えてくれた。  昴太が校庭で朝練していると、突風が吹いてサッカーゴールが倒れて下敷きになり、救急車で運ばれたというのだ。 「えっ!」  どうして? どうして私じゃなくて昴太がと、驚いて琴子ちゃんの方を向くと、琴子ちゃんがにやにや笑いながらこちらを見ていた。  朝礼で先生が、昴太は怪我をしているが命に別状はないと発表してくれて、皆が胸を撫でおろした。私もほっとして涙が出た。 「この学校、呪われてるんじゃね?」  氷室さんのことがあったばかりだったので、そんなことを言う男子がいた。  私は下校のときに琴子ちゃんを呼び止めた。 「ねえ、どういうこと? 昴太に何かしたの?」  絶対、琴子ちゃんが関わっていると確信していた。なんで私でなく昴太にと、私は問い詰めた。  「何もしてないよ。ただ菅原君いなくなれって思っただけ」 「な、なんで私じゃなく昴太なの?」 「だって、私から琴子ちゃんを取ったから」  私は愕然とした。そういうことか、琴子ちゃんは昴太が好きなわけじゃないんだとやっと気がついた。 「でも、失敗しちゃったけどね」  琴子ちゃんはにやっと笑った。そうだ。昴太はまだ危ないんだと私は気づいた。 「昴太に、昴太に何かしたら、許さないから!」  私はそう言うと、その場を立ち去った。
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