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母と一緒に昴太のお見舞いに行った。昴太は腰と足を打撲しているが、骨には異常はなかった。念のため内臓や頭の検査もするので、一週間ほど入院するという。
「良かった」
でも、まだ安心できなかった。
「不思議なんだよ」
二人になって、昴太が呟く。
「何が?」
「犬の鳴き声がして頭が割れそうに痛くなったと思ったら、突風が吹いて急にゴールが倒れてきたんだ」
私はあの三匹の犬を思い出した。
家に帰ると、リビングに兄とマサさんがいた。
「昴太、大変だったな」
兄も母から聞いていた。
「詩織ちゃん、顔色悪いよ。それにそこ」
マサさんは私の肩を見る。
「また、獣の毛がついている」
その瞬間、三匹の犬を思い出して、私は恐怖で泣き出した。
「おい、詩織、どうした?」
兄が驚く。
「詩織ちゃん、何か気になることがあったら僕に話してみて」
マサさんが言う。
「詩織ちゃんのまわりに、三匹の黒い犬が見えるよ」
私はびっくりして、マサさんを見る。
「詩織、何かあるならマサに話してみろよ。こいつ、そういう力があるからさ」
そういう力って?
私は琴子ちゃんとのこれまでのことをすべて話した。
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