5. 呪い

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 母と一緒に昴太のお見舞いに行った。昴太は腰と足を打撲しているが、骨には異常はなかった。念のため内臓や頭の検査もするので、一週間ほど入院するという。 「良かった」  でも、まだ安心できなかった。 「不思議なんだよ」  二人になって、昴太が呟く。 「何が?」 「犬の鳴き声がして頭が割れそうに痛くなったと思ったら、突風が吹いて急にゴールが倒れてきたんだ」  私はあの三匹の犬を思い出した。  家に帰ると、リビングに兄とマサさんがいた。 「昴太、大変だったな」  兄も母から聞いていた。 「詩織ちゃん、顔色悪いよ。それにそこ」  マサさんは私の肩を見る。 「また、獣の毛がついている」  その瞬間、三匹の犬を思い出して、私は恐怖で泣き出した。 「おい、詩織、どうした?」  兄が驚く。 「詩織ちゃん、何か気になることがあったら僕に話してみて」  マサさんが言う。 「詩織ちゃんのまわりに、三匹の黒い犬が見えるよ」  私はびっくりして、マサさんを見る。 「詩織、何かあるならマサに話してみろよ。こいつ、そういう力があるからさ」  そういう力って?  私は琴子ちゃんとのこれまでのことをすべて話した。
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