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中一の時の仲良しは皆ほかのクラスになったので、私は自然と琴子ちゃんと一緒に行動するようになった。
「浅野さん」
ある日、下校時に琴子ちゃんと学校を出たところで呼び止められた。
隣のクラスの氷室美咲さんとその取り巻きの子達だった。
氷室さんは小学生向けのファッション誌のモデルをしていたという、すごく可愛い女の子だ。今は受験のために芸能活動は休んでいるが、学校でも人気だった。
「ちょっといい?」
私と琴子ちゃんは、氷室さん達に囲まれた。
「あなた、菅原君とどんな関係?」
「え? 菅原君って、昴太のこと?」
「そう」
昴太は私にとってはただの幼馴染だった。
しかし昴太はサッカー部で活躍しているのと、生徒会役員をやっているので、目立っていて女子に人気だった。
「昴太はただの幼馴染だよ」
「本当?」
氷室さんは疑うように言う。
「うん」
「絶対ね? じゃあ、私が告白してもいいわね?」
「えっ」
思いがけないことだった。
「ただの幼馴染ならいいわよね?」
氷室さんに念を押され、私は肯いた。やっと私達は解放され、去って行く氷室さん達をただ黙って見送った。
「いいの?」
琴子ちゃんが私に聞いた。
「えっ?」
「菅原君のこと」
「うん。だって、仲いい幼馴染だから」
その時の私は本当にそう思っていた。
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