企画『貴方が担当した小説は』

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タイトル:『ふたり』 名前:鈴木史郎 ジャンル:仕事×恋愛 書き出し:山梨県M市ーーー人口5万人の小さな市。名産は饅頭 帯コメント:ミリオンセラーさえ通過点になる ちなみに鈴木史郎はクリーンレンジャー企画で誕生したオリキャラで、↓のお話の残念感ただよう主人公好です。 https://estar.jp/novels/25812443 単発のSSのように、史郎を知らなくとも読めるように書いたつもりです。 尚、こちらは全年齢対象のBL短編となっておりますm(*_ _)m ************  山梨県M市ーーー人口5万人の小さな市。名産は饅頭……。  いや、それは単なる史郎の好物なだけで、県の西側・南アルプス山麓(さんろく)の自然に囲まれた、”すもも”が特産の地域だ。  今年は猛暑で秋の到来も遅かったものの、いよいよ紅葉シーズンということで、M市から落ち葉の清掃依頼が史郎のいるクリーンレンジャー団体にも持ち込まれた。シルバー人材派遣団体との共同作業になる。  そのクリーンレンジャー団体からは史郎と史郎の推しであるシュート隊員が出向くことになった。  そう、史郎にとっての推し様。ダストシュート隊員。ハートエフェクト添え。  とある銭湯でプライベート遭遇してからというもの、愛猫の”さくら餅”にクリソツなビジュアルにガッツリと心を奪われ、今や推し活の域を大きく超えてレンジャー隊員をするまでとなった。  とはいえ、史郎にはもう一つ別の顔があった。敵対勢力のビランとしての顔だ。  けれども仕方がない。それは推しと出会う以前からのものだ。  たとえややこしい二足の草鞋生活を強いられようと本望。我が推しは尊い。とめどない推し愛の前には全ての苦労が無と化したし、胸を張って充実した推し活ライフを送っていると言えた。  それにこの頃はそんな不都合な生活にも慣れてきた。しかもここへきて、推しとふたり(、、、)っきりの戦隊活動だ。ついと頬がだらしなく緩む。 (クリーンレンジャーに所属して苦節ウンヶ月、グッジョブ俺!) 「お前、こっち見た。キショい」 「そんな日本語、どこで覚えた? こんの可愛い日本語達者さん」 「キモキモキモ」 「あああ、今日もブレない愛しのツンデレさんだな」 「一生、お前にはデレない」 「またまたまた~~」  震えあがる推しの傍らで、史郎はデレデレと鼻の下を伸ばす。  いつもながらツンで可愛い過ぎる推しの様子に、心の声を内に留めておけない。  今も推しは怪訝そうにこちらを睨みつけてくるが、史郎にとっては病みつきになる甘美なご褒美だった。 (どうしてくれようか、こんのツンツンツンなさくら餅っ子さん❤)  今日も一挙手一投足、一言一句も逃さないとばかりに心のメモ帳に推し記録をしかと書き留める。  そんな風に史郎は始終だらしなく頬を緩ませながらも持ち場の落ち葉拾いにゴミ集め、草刈りまでをあっという間にこなしていく。 75b072c5-1928-4196-bbb1-906d28deed5d  史郎は多少残念さが浮きだっているものの、黙っていれば好青年。なかなかのスペックの良い働き者だ。  一方で、大雑把で面倒くさがりの推し様(シュート)はこの地味な作業に悪戦苦闘している。隣にいると、ついアレコレと手を出してしまいたくなる。  並行で推しの世話も焼いていたら、予定時刻よりも随分と早くに全体のタスクも終了していた。  そのまま流れるようにシルバーさん達と一緒に、キャンプ場の一角を借りての慰労会となった。
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