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38年ぶりの
礼子の小学校の時の同窓会が38年ぶりに開かれることになった。
礼子の田舎では、大抵の学年は毎年、いや、地元にいる仲間は月に一回、同窓会を開いている。
昔の金融の方法であった「無尽」を当てはめるが、今の実情はただの仲間内の飲み会だが、毎月「無尽」が色々な仲間内でおこなわれている。
地元に残っていた池田君は、先輩方にも
「お前の学年は何で何にもやらないんだ?」
と、不思議がられていた。
礼子の学年は半数以上が都会に出てしまっているし、途中、同級生が亡くなると言う事もあったりで、なかなか同窓会を開こうと言う雰囲気にならなかった。
地元に残っているメンバーも、半数は女子で、お嫁に行った先は殆どが同居なので、なかなか幹事までをやることはできなかった。
でも、担任だった二人の先生のうち一人が80歳をすぎたので、一度会えるうちにどうにか同窓会を開こうと、ようやく考えられるようになったのだ。
50歳ともなれば、女子もほとんどが子育てを終えているか、終えていなくても、子供だけで留守番ができるくらいには大きくなっている。
やはり、地元で開催と言う事で、駅の近くでやってくれれば宿泊施設もあったし、飲食店も多かったので、ワイワイと賑やかにできたと思うのだ。
ただ、無理やり幹事をやらされた池田君は地元にこだわり、新幹線の駅から遠く離れた、本当の地元で、同総会を開催した。
礼子は有休をとって、実家にとまることにしたし、実家から迎えにも来てくれたが、有休がとれなかったり、大阪から来たメンバーは、夜の同窓会に間に合わせるのが大変だったようだ。
そもそも、地元にはまともな飲食店がなく、旅館だが、宴会だけでも受けるという、広い会場だけはある旅館で同窓会を行うことにした。
そこは、料理は仕出しで、冷めているし、美味しくないので評判だったので、礼子はとにかく同級生たちと再会できるのを楽しみに出かけて行った。
町内なので、歩いて実家に帰れるのだが、実家の母は夜が早いし、一番仲の良かった実家がはす向かいの同級生と泊りで飲み明かそうと決めて、泊ることに決めていた。
同窓会はポツリポツリと人が集まり始め、時間通りに集まったのは半数ほど。でも、全員が出席の通知を出してきていたので、ボチボチ始めていようと言う事になって、地元の懐かしい顔ぶれと話を始めていた。
38年ぶりだと言うのに、面影は変わらないものだ。
クラスの人数が25人と少なかったこともあり、38年経っても、名前は全員が分かる。
礼子は、小学校の頃には眼鏡をかけていて、高校からコンタクトにしていたので、案外わからないのでは?と思ったが、地元の高校に通っていたので、高校まで一緒だった同級生はすぐにわかったし、あまり眼鏡などは関係ないらしく、雰囲気でわかるのが同級生と言うものらしい。
「久しぶり。」
「久しぶり。」
あちらこちらで、そんな声が聞こえて、後は、近況報告に終始していく。
ようやく全員がそろい、担任の先生も二人そろったところで、改めて、全員んで、ぐるりと輪になって、一人ずつ近況報告をしていった。
ある程度アルコールも入り、ほろ酔いで、みんな楽しく近況を語っていく。
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