7人が本棚に入れています
本棚に追加
/2ページ
あれ?
クラスの中で、二人、欠けているメンバーがいた。
一人は、若くして、糖尿病で亡くなった男子。
もう一人はもっと若いときに、実家で自分に火をつけて自死してしまった女子。
みんなが輪になって話している時に、礼子は、結局何人集まったんだろう。と思って、人数を数え始めた。
担任は6年間で2人。全員参加だから同級生は23人で全部で25人いるはずだった。
何度数えても、27人いる。
輪になっているし、お酒が入っているので、数え間違えているのか?と思い、なんどか数えたが、どうしても27人いる。
礼子は一瞬ぞわっとしたが、亡くなった二人の顔がいるわけでもない。
知らない顔がいるわけでもない。
でも、27人いるのだ。
その時、フッと、礼子の後ろで、
「久しぶり。」
と、自死した女子の声が聞こえた。
礼子が振り向こうとすると、
「おう!」
と、中学校までクラスが一緒だった、糖尿病で亡くなった男子の声がして、肩を叩かれた。
慌てて、振り向いたけれど、誰もいない。
もう一度数えてみると、25人になっていた。
『あぁ、二人共みんなに会いに来て、今、帰って行ったのか。』
礼子は、怖いとも思わずに普通にそう思った。
大勢で騒いでいたし、本当に久しぶりにみんなに会える機会だったのだ。
そういえば、二人共地元で亡くなっている。
この騒ぎを聞きつけて、急いで会いに来たんだろう。
礼子は、二人の顔を思い出そうとしたが、昔の顔はなぜかおぼろげで、はっきりとは思い出せないのだった。
【了】
最初のコメントを投稿しよう!