課長が犬になった日

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「…おはよう……ございます…。」   俺はいつものように出勤。   事務所の戸を開ければ、一番奥に座るあの嫌味な課長が、河合(かわい)さんと談笑しているか、提出した書類の小言を俺に言うところから始まる。 しかし、俺の目には奥の席に犬が座ってるいる。 「?」 「ハッハッハッ…。」  犬だ。紛うことなく犬だ。柴犬だ。多分。 口を開けて舌を垂らしてこちらを見ている。茶色い毛並みがエアコンの風を浴びてヒラヒラとしている。 俺はとにかく課長の前の席に座る。深く深呼吸をして目を閉じる。首を回さず視線だけ課長の席に。 犬だ。 犬がいる。
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