課長が犬になった日

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俺はパソコンに向かう。  課長の承認印を貰い、取引先に出す書類が。 俺はそれを手に課長の前に。 「あの…課長。」  「ハッハッ……ペロッ。」 舌を出していた犬はそのまま一度口を閉じて自分の鼻を濡らすように舌を器用に使う。 「…こちらの書類に印をお願いいたします。」 「…ハッハッハッ。」  「…。」 尻尾を振っているが印をついてくれる様子は無い。 すると反対側から河合さんが来た。 「課長、こちらの書類。先方への部品の見積書なので印をお願いします!」 高い声で頼む河合さん。 「ハッハッハッ。」 すると犬は前足を机の上に置いて伸びをする。そして肉球を朱肉に乗せて、承認印の枠へそれを押す。 「ありがとうございました!」 河合さんは何も無かったように、まるで課長と過ごした様に去っていく。 また残された犬と俺。 「……クゥウン。」 「え?」  何やら不満そうな声を出し、前足を机の端で擦る。カリカリ、チタチタと爪が音を立てる。 「あ、これ……ですか?」 俺は自分の書類を出すと、また肉球印を俺の書類にもしてくれた。
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