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課長が戻った日
翌日。
「おはようございます…。」
俺は出社するといつもの課長が居た。犬ではない。スタイルこそ良いが嫌味だらけの課長が。
「おはよう。波夫君。ちょっといいかい?昨日、先方から連絡があったよ。注文の処理が遅いって。それくらいちゃんと処理して帰ってくれよ。残業代はちゃんと出てるんだし、君の残業時間にはまだゆとりがある。
もちろん急ぎなどあればいいが、社会の信用をものの10分で勝ち取れるんだ。この間の会議でもあったが、我々が利益を上げないことには進まないんだ。」
「…はい。以後気をつけます。」
「頼んだよ、他にも商談中の案件は無いか?私が出ていけば話も早いだろうに。」
俺は課長をじっと見た。
「…?…どうした。」
「い、いえ。すみません。あの二件ほど抱えている案件がありまして…。」
「なんだ…まだ持っているのか?早く出しなさいって言っているだろうが…。」
課長は嫌味たっぷりに言う。
しかし俺の目には課長の顔とどうしても昨日の犬が重なる。
すると何故か嫌味も
犬が『クゥウン、クゥウン。』言っているように聞こえる。
更に普段の仕事もウロウロとして仕事を見られていると思うと集中できないが、
犬が居ると思うと気にならない。
課長のイライラモードも犬が唸っていると思うと受け流せる。何なら骨を渡す感覚で機嫌取りも出来る。
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