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「ああ? 社員だからって偉いのか? 何様だ、会社の下僕のくせに。お前らだって何かあればすぐに捨てられてこうなるぞ。底辺だって笑うのか? 同じ仕事をしているのに? だったらお前らのやってることもクソみたいなゴミだな。役にも立たないことを一日中やり続け、会社に押し込められ家畜かよ」
ドンっと音をたてて上司の机に腕をつくと、ヒっと怯えた声が聞こえた。
いつもは背もたれに偉そうに伸し掛かっているくせに、今は小さく丸まってガタガタ震えている。
ああ、気持ちがいい。
「ですが、この件に関してはあなただけの問題ではないと思われます。わたくしの雇用先である派遣会社こちらの態度も問題ですね。うまい具合にやるのはあなたたちの仕事。わたしたち派遣は契約された仕事を全うするのみ。時間から時間まで、そのお約束でこちらに参っております。そこを勘違いされては困ります」
今度はバリバリのキャリアウーマンの気分だ。
的確で淀みのない訴えにみんながしんとなった。
なんだ。
寝なくても、起きなくても化ける時が来るんじゃないか。
その時がようやく来たのだ。
わたしは「はははは」と大きな口を開けて笑い始めた。あまりにも開きすぎて口の端がピリっと切れた。舌で舐めると裂け目が出来ていて沁みた。
ねえ、わたし、と問いかける。
こいつらやっつけちゃおうか。
ね。
弱っちいわたしなんてもう要らないのよ。
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