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「正解。やっと思い出したね」
彼女の浮かべた笑みは先程までと同じだったのだろうけど、今となってはそれはとても気味の悪いものだった。
「じゃあ、どうして刺されたのかもわかる?」
ああ、そうだ。この状況、全く一緒だ。
20歲の誕生日。花火大会。告白。 そして──
「ねえ!どうして私のこと殺したりしたの!」
「あ゙ぁっ!」
レイは、今度は俺の太ももに包丁を突き刺した。
「やっと大好きだったカイに告白してもらったのに!やっと幸せになれるところだったのに!」
「……は……っ、はあ………はあっ………」
「どうして私を通り魔に殺させたりしたの!」
主人公のカイとヒロインのレイは幼なじみ。ずっと昔からお互いのことが好きだった。数々の困難を乗り越え、カイはレイの20歳の誕生日に告白する。
だがやっと両思いになれると思った瞬間、レイは花火大会の観客を狙っていた通り魔に刺し殺されてしまう。俺が書いた物語だ。
「痛くて、怖くて、悲しくて、たまらなかった。最初は背中、次に太もも、お腹、肩、顔。大好きな人の前でぐちゃぐちゃになって殺された。苦しかったなぁ。苦しかったなあ!」
「ゔぅっ!!」
レイは恨みを晴らすように、俺の体をめった刺しにしていった。自分がされたのと同じように。
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