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キャシーは幼い頃から人気者の姉がとても自慢だった。自分がキツイ物言いをしてしまいがちな分、彼女の柔らかな空気に触れると、少しは自分も優しくなれるような気がして心地よかった。
今日も今日とて、町の人に囲まれていく姉を、誇らしげに少し離れて眺めている。
(ふん、お姉ちゃんたら、今日も一段と人気者ね。わかる……わかるわ! 今日のお姉ちゃんも完璧にキレイだもの。本当は二人でもっと話したいけど、お姉ちゃんは人気者だし仕方ないわ。どうせ、この後も一緒に買い物するんだし、有象無象が群がるくらい、ちょっと多めに見てやるわよ)
キャシーはそんな気持ちを顔や言葉には出さなかったので、周囲の人には愛想の悪いキツイ妹、としか認識されていない。
キャシーは別にそれでもいい。
なぜなら姉のフローラが、時々うれしそうにこっちを振り向き笑ってくれるから。
(我が姉ながらやっぱりかわいいわね。あれで中身もちゃんと女の子らしかったら、王都の社交界でも多くの人を虜にして、一世風靡しただろうな。ああ、でもそんなことになって王都に行ってしまったら寂しいから、やっぱりあの恋愛ポンコツの姉でちょうどいいんだわ)
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