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「今回、実に四年ぶりということですが、今の率直な気持ちをお聞かせください」
「そうですね……、正直、まさかという気持ちが一番ですかね……」
女性の真っすぐな視線と共に向けられた質問に、男は少し苦笑気味に答えた。
「まさか……ということは、全くの予想外だった、ということでしょうか?」
「……いえ、全く予想できなかったと言えば嘘になります。多少はそんな気もしてたというか……、いつかはこんな日が来るような、そんな気はしていました」
少し照れ臭そうにする男に、なるほどと女性は頷くと、
「では、今回の結果に繋がった一番の要因は何だとお考えでしょうか?」
「……難しいですね、色々なことが重なった結果だとも思いますので」
「なるほど、何か一つのことが理由ではないということですね?」
「そうですね……、あえて言うなら、日々の積み重ねの結果、そんなところでしょうか……」
また苦笑気味に答えた男に、女性もまた、なるほどと大きく頷くと、一段と力強く明るい声で、
「ありがとうございました! 四年ぶり三回目のギックリ腰、お父さんでした!」
「…………うん、高校で放送部に入ったのは知ってるし、今度運動部の人達にインタビューするから練習したいってのも分かるけどさ……」
「……けど?」
「今じゃなかったかな……って。あと、何年ぶり何回目とか、甲子園出場じゃないんだからさ……」
横になったまま弱々しく苦言を呈する男だったが、その時にはもう娘の姿はそこにはなかった。
「……あたたた、あれ? 三回目じゃなくて四回目だったっけ……?
……まあ、どっちでもいいか」
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