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「着きました〜。下りますか?」
「うん」
副社長室に入って龍くんをそっと床の上に立たせる。
さてと、
まずは情報収集して幼児の学習が必要だ。
スマホを取り出し、膝を床についたまま質問してみる。
身長は100cmくらい、かな。
「隊長は何才ですか?」
「3さいっ」
「んふっ。それじゃあ指が2になって…
ひゃぁうっ!?
隊長、何するんですかぁ!!」
「…………」
龍くんが歳の数を間違えて、小さな手でピースをして答えた。
かわいらしいと思っていたら、いきなり!
その指で僕の目潰しに突き刺してきた。
後ろにのけ反り尻もちをついてギリギリ躱す。
びっくりしてつい大声をあげてしまった。
龍くんは真顔で僕を見つめてる。
子供ってコワイ!
「悪戯でもケガをするので危ないですよ?」
「オトコとふたりになったらタイマン!
いたずらするオトナあぶにゃい!」
「え?あぁ、なるほど。不審者対策ですね。
さすが番長のお子様だぁ。とても強い」
「ゆだん、しない!きゅうしょ、ねらう!」
僕が感心すると龍くんが番長の教えを唱えているようだった。
「僕は悪いことはしないと約束します。
隊長にクッキーをあげたいので、そこの
長いイスに座れますか?」
「りょーかい!」
テクテクと龍くんがイスに向かって行くと、ちょうどその時…
ブファァァッ!
奥のドアが開いて博士が出てきた。
博士の姿を見るなり龍くんが指をさして言う。
「チッパーだ!」
「……誰がチッパーじゃ!!」
「……いきてるっ」
「……真守、お前、隠し子がおったのか?」
「え?ち、違いますよぉ!?」
博士もお疲れなんだろう。
事情を話すと物珍しそうに龍くんに近寄る。
「しっかし、
わいの小さい頃にそっくりじゃ。名前は?」
「ワンリュウ!…3さいっ」
「ははっ、それじゃあ2じゃな」
「ああっ、博士気をつけて!」
「ほれっ。小遣いをやろう」
「「 !?!? 」」
龍くんがピースサインをまたしたので目潰し攻撃が繰り出されるかと焦ったが、その指の間に博士は折り畳んだ一万円札をすっと挟んだ。
手慣れている……さすが博士だ。
スマホ検索で3歳児の生態を学ぼうとした自分が恥ずかしい。
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