5.爺じのお告げ

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「…真守、ずいぶん格好良くなったな」 「……じ、じいじ」 眩しい光に目がくらんで瞼をそっと開けると、じいじの姿が目の前にあった。 懐かしそうに僕を細い目で見つめている。 「すぐにでも呼ばれるかと思っていたが…  タイミング合ってるのか?外したか?」 「……どっちかと言えば、はずれ?かな?」 「やっぱりかぁっ!そんな気がしたぞ!」 「ごめん、冗談かと思って。寝ぼけてた」 現実世界か、夢の中か。 どちらか区別がつかないが、じいじの輪郭は頭から足まではっきりと見えている。 亡霊、なのかな? にしても元気そうでなにより! 「すべては見透しているが、兎にも角にも  会社を継いでくれて有難く思っている。  ありがとう、真守…」 「じいじ……僕、これからも頑張るよ」 「それで困りごとはないのか?」 「困りごと……特にないかな?」 「ないのぉ!?俺、蘇ったのに!?」 「でも!じいじに会えて嬉しいよ!」 「ほれっ、時間がないんだ。  3分しか蘇りができん。  何か願いごとでもいい、あるだろ?」 「それ3分しか闘えないヒーローじゃなくて?  えーと、急いで願いごとか……自信?  自信が欲しいかな」 「そうか!では真守、西に行け。  千馬(ちば)の守り神が力を与えてくださる。  (せん)の馬が(まつ)られた代々伝わる―――――」 「じいじ?……消え、消えちゃった」 3分たったからだろうか。 じいじの姿が急に薄くなって光に溶け込み見えなくなってしまった。 僕の脳は覚醒したようで夢から抜け出した。 目をしっかり開いてデスクから体を起こしてみる。 「西に行け、って…  雑すぎじゃない?そんなんじゃ何処に…  っ!?」 僕の手首にあるスマートウォッチが… 光線を放っている。 不思議に思いながら角度を変えてみたりしたが、西の方向一点に真っすぐ光は伸び続けていた。 きっと、じいじのお告げの場所を指し示してくれているんだ!
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