6.異質な旦那様

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「これ、昨日伝えた悪阻に効く漢方です。  お湯に溶かして飲むといいって」 王さんに教えてもらって、少しでも楽になればと咲月さんに持ってきた。 「ありがとう小春さ……うっ」 「あぁ〜、つらいですねって……??」 吐き気をもよおした咲月さんの背中をさするとその隣からも… 「う"うっ」 「え?」 社長が嘔吐(えず)いて口元を押さえながら席を外した。 デスクに片手をついて前屈みに、後ろ姿はカッコイイポーズなのに吐き気を我慢している。 昨夜に会食でもあって飲み過ぎたのかな? それで機嫌が悪かったとか。 「社長、二日酔いですか?」 「…………」 「あれ、もらい悪阻(つわり)なのよ…」 「え?もらい悪阻って男性なのに?」 「私の悪阻症状に合わせて気分が悪くなる  らしいの」 「へ、へぇ〜、そんなのあるんですね…」 咲月さんが呆れ気味に説明してくれた。 面食らっていると社長が弱々しく振り返る。 自身でも戸惑っているような表情をするので、かける言葉が見つからずポカンとしてしまった。 このひと……めんどくせー。 「このっ、面倒くせぇ思ってるだろ!!」 「い、いいえ〜」 社長が私に向かって怒鳴り散らす。 ほんとにマタニティブルーっぽい! 情緒不安定でイライラしてるっ。 「大きい声出さないで!う"うっ…」 「あぁ〜咲月、悪かったよ……おぇ"っ」 咲月さんまで怒りっぽく……似た者夫婦。 ふたりシンクロしてて仲が良い証拠かな? お邪魔だろうと私は挨拶をして社長室を出た。 次は副社長室へ行かなくちゃ♡
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