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咲月が優しく俺の頭を撫でる。
まるで自分が赤ん坊になった気分だ。
「社長の職務に悪影響を与えたくないの。
会社と従業員を大事にしないと…」
「…わかってる」
俺に言い聞かせるみたいに。
正論を述べる咲月はきっと母親のような顔をしているのだろう。
「でもね、
私を一番に大切にしてくれて嬉しいの。
自分でもオカシイくらい…
変な夢蔵のことがかわいくて仕方ない///」
は?
ガバッ、っと。
体を起こして咲月の顔を見ると、さっきまで蒼白していた顔色にほんのり赤みが帯びている。
ドクッ。
心臓が一瞬飛び跳ねた気がした。
恥ずかしそうに目を背ける咲月が…
俺はやたらとかわいく見えて火照りだす。
「おまっ、
俺でも読めないツンデレ過ぎるぞ///」
照れ隠しに威張って見せると、咲月は恥じらいながら反論してくるが…
「だって、男らしい所が好きだったのに。
妊娠したら……かわいがりたい、なんて。
自分でも体の変化に戸惑ってるのよ?」
……くっそ、
かぁわいいんだよ!咲月のほうがな!!
俺だって、めちゃくちゃに、かわいがりたい///
ソファにしれっと戻り咲月の手をとって頬にくっつける。
これまで日和ってた俺は急に消え去った。
口説き落とす!みたいな昔の自信たっぷりな俺様目線で咲月を見つめる。
「……他には?俺にしたいこと」
「怒ってないの?」
「怒るわけないだろ?何でも言って」
「いいの?……えーと、
たまにウトウトしながら歯磨きしてるから
私が磨いてあげようかな?あと、
寝てる時におなかが出てるから腹巻して
あげたいな。とか?」
……俺、しっかりしろ。
完全に子供じゃないか!
「そ、それだけ?」
「そぅ……あぁ!
この前、真守くんが言ってたんだけど。
ご飯を食べさせあったり?一緒に、
お風呂に入ってシャンプーしてあげたり?
夫婦は皆してるから普通ですよって。
私も……してみたい、かな?」
グッ…
Good job!!! 真守〜。
鼻の下がゆるゆると伸び放題になりかけ気合いでくい止める。
「しょ、承認だ。……決裁する?あー…
キスで?」
「……ふふっ。うん」
「「 ―――――、うう"っ…… 」」
二人同時に嘔吐く。
キスはお預け・・・できるわけない!
チュッ♡
妻の尻に敷かれまくる俺のことは―――――
しーっ!誰にも秘密だ。
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