手に入れて

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手に入れて

その言葉は嘘でも嬉しいと思った。いや、この魔法使いという仕事を目指しているということは死はみんな覚悟の上なのかもしれない。 私は、 「ありがとう。でも、どうして?」 と聞くと、 「明理のことが好きだから」 と言った。 「私のことが…?」 と聞き返してしまう。 好きなんて言われたのなんて初めてで、彼も初めて人を好きだと言ったようだ。恥ずかしいのか、彼は顔をこちらに向けてくれない。 この時、私は気付いた。 私はこの人が好きだったんだ。 私もその事を伝えると彼はこちらをようやく向いてくれる。そして、付き合って欲しいと言われた。付き合うってまだ、どんな形か分からないけれど、私は、 「うん」 と返事をしたのだった。 その後は舞台だけじゃなく、一緒に飲食店や買い物に行ったりした。彼のことを考えると急に苦しくなったり嬉しくなったり、悲しくなったり、楽しくなったり、寂しくなったり…私の心の中は忙しい。今までの私とは大違いだ。 彼といると退屈な日も退屈じゃない。
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