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幸せを
私はしばらく黙ってしまい、頭の中でぐるぐると考える。彼は話始めるのを待ってくれて、とても優しいなと思う。でも今まで誰にも話していない。私が、魔法使いを目指した理由。学校を目指した理由。
言うのが怖くなり、体が震えた。こんな明るい彼に立派な彼に、こんな暗い話、できない。そう思った。
でも彼は真剣な顔で、
「話したくないことならいいよ」
と言ってくれる。
そんな優しい彼に私は話したいと思い、
「ちょっと暗い話で迷っただけ」
と言って私は話した。
私が魔法使いを目指した理由は、親の仇。
私の親は母も父も魔法使いをしていてドラゴン討伐の仕事に行ったきり帰ってこなかった。行方不明だそうだ。そして、そのドラゴン討伐の仕事はまだ完了していない。みんな、帰ってこないのだ。
私は、そのドラゴンを倒したい。親の仇を取りたい。例え、私の命が消えようとも。そのドラゴンに会いに行く。
私の手で倒したい。
彼は静かに真面目に私の話を聞いてくれる。本当に、すごく優しいなと思う。
そして彼は聞き終わってから口を開いた。
「じゃあその時は俺も一緒に行く」
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