3 良い人に拾ってもらいました。

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 不自然にならないように、一度街道に出てからまっすぐ門に向かう。    こういう時どこを見ればいいのかしら。  目を逸らしすぎても変よね。門番を凝視してもおかしいわ。  ああ、どうしよう。何か聞かれたらどうすればいいの?  いよいよ目の前に門番が迫ってくる。  左右に1人ずつ。右の門番は犬の守護精が傍に立っていた。左の門番は鷹だろうか。  挨拶をしなきゃ。さっき出て行く人がしていたわ。  自然に、おはようございますって言うだけ。 「お、おはようございます」  少し固かったかな?でも大丈夫、ただの挨拶だもの。 「待て」  だ、大丈夫じゃなかったわ! 「なっ…んでしょう?」  声が裏返ってしまい、怪しさがどんどん増していく。 「お前、見ない顔だな。ちょっと鞄の中を見せて見ろ」  嘘、門番て顔を覚えてるの?こんなに広い街なのに? 「身なりが悪いわりにいい馬を連れているな。どういうことだ?」  馬ってどれも見た目は同じじゃないの!? 「ああー、えっと…これは…ご、ご主人様の、馬が…」  しどろもどろになりながらも、なんとか誤魔化せないかと嘘をついてみる。  だが執事以外誰かとまともに話すなんて幽閉後はなかった。  他人とどう会話をしたらいいかなんてもう思い出せない。 「ご主人様?主はどこの誰だ?」 「それと鞄を早く開けろ」 「こんな所にいたのか。探したぞ。まったく、次からは離れるなよ」  門番の手が鞄に伸ばされた時、後ろから若い男の声が聞こえた。  レジーナは自分の窮地を救う声だとも気づかず、鞄を抱えたまま固まっている。 「すまない。前の町で雇ったばかりの新人なんだ。手違いがあってはぐれてしまった。連れて行ってかまわないか?俺の通行証はこれだ」  そう言うと青年は一通の封筒を出した。  上質な封筒から出てきたのは一枚の通行証。  これも上質な紙、と言うより王家御用達の透かしが入っている。 「ルト・クラインシュタット この者の身分は王家によって保証されたものである…失礼しました。どうぞお通り下さい」  王家ゆかり、もしくは王の命を受けた特別な事情がある者の場合、このような通行証を持つことがある。 彼もそんな一人かと思い、門番は通行証を丁寧に返却して敬礼した。 「ご苦労。ほら、行くぞ」  やっと自分を庇ってくれたのだと気づいたレジーナは、「は、はい」と緊張した声で返事をすると、後を追いかけた。  そのまま表通りを抜け、どこかの裏路地に入るとやっと青年は振り返った。
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