21 忙殺の日々、煩悩の王子

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 すぐに唇が重なると、何度も角度を変えて啄んできた。  最初はお互いに唇を押し付けるだけで呼吸のタイミングすらわからなかったというのに、今はそうやって何度か小鳥のようなキスを繰り返すと、座りのいい場所を見つけたとでも言うようにゆっくりとレジーナの唇を食んでくる。  少しだけ大人の階段を昇ったようなキスだが、今日はそれが執拗に繰り返された。  レジーナがうっとりとキスを受けている間に、彼はもう一段昇ろうとしているようだった。  食まれた唇を、合わせたまま舌先でなぞられた。  唇の柔らかさとは違う濡れた感触に、レジーナは戸惑いルートヴィッヒのシャツを掴んだ。 「んっ…」 「ジーナ、その声可愛い…」  唇を触れ合わせたまま、上ずった声で彼が囁く。  そしてまた食むと、同じように何度も唇をなぞられた。 「ぁ…」  ぞくぞくとした感覚が背中に走り思わず声を上げてしまうと、唇をなぞっていた舌が隙間に滑り込んだ。  初めて侵入した舌に、びくっと体を揺らしたレジーナは思わず身を離してしまった。  少し傷ついたようなルートヴィッヒの目があった。 「すまない、嫌だったか?」  レジーナは首をふるふると振りながら、「ちょっとびっくりしてしまって」と答えた。 「もう少し味わいたい」  舌を受け入れるキスなんて知らない彼女は、それが普通のことなのかわからなくて気後れした。  でも、ルートヴィッヒが舌で撫でた唇はなんとも言えない心地良さがあった。  やはりもう1度欲しくなり、今度はレジーナの方から唇を重ねた。  すぐに彼が頭を押さえつけ、先程より大胆に舌でなぞって来る。  ぞくぞくとした感覚が大きくなり耐えられなくなったレジーナは、勝手に震える足に立っていられず、声を上げてしまった。 「んぁ…っ」 「声、可愛すぎる…足まで震えて…立っていられない?」  レジーナがぎゅっと目を閉じてこくこくと頷いていた。  無自覚な煽りが簡単にルートヴィッヒの理性をはぎ取っていく。 「それじゃあ…横になるといい…」  声音が変わった気がした。  返事をする間もなく、横抱きにされたレジーナは傍の寝台に寝かせられた。  すぐにルートヴィッヒが伸し掛かり、彼女の体をベッドに押し付けた。 「あっ…ルト、さま…?」 「またそんな何もわからないような顔して…君ってほんと罪だ。まだ手を出すわけにはいかないって言うのに、この先に進んでしまいたくなる」  ガウンも羽織っていない彼女の薄い着衣を今すぐ乱してみたくなる。  きっと以前に見た後ろ姿より、ぐっと大人の体になっているに違いない。  それを確認できるのはもう少し先のことだろうが、腰に添えた手は既にラインの感触を確認している。明らかに艶めかしくなった曲線に、思わず喉が鳴った。
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