57人が本棚に入れています
本棚に追加
「ルト様…苦しいのですか?」
「そりゃ苦しいよ。こんなに美味そうな君を前にして、手出しできないんだから。だからせめてもう少しここを味見したい…今度は君も俺の真似をしてくれないか」
ルートヴィッヒが覆い被さり、吐息の触れる距離で囁く。味見したいという唇を指先でなぞっているうちに、ついそのまま口に差し込んでしまった。
指先に彼女の舌が触れたかと思うと、すぐに奥に逃げてしまう。
レジーナの小さな唇に押し込んだ指が妙に官能的で、彼はその光景に何かの比喩を重ねて舌を探した。
咥えられる指が己のある部分と連動しているような気になり、欲望の滲む眼差しで観察する。
指で口の中をまさぐられたレジーナは、いつの間にかそう命令されたかのように一生懸命その指をしゃぶっていた。
やや倒錯的な行為に、レジーナの表情まで恍惚の色を浮かべる。
彼女の口から水音が響いて、理性が飛ぶ寸前に我に返ったルートヴィッヒはちゅぱっと音をたてて指を引き抜いた。
抜き取った指を、レジーナをねめつけたまま自分で舐め取った。
彼女はそれを見てどう思ったのか、口に入れた瞬間「あっ…」と声に出した。
官能的な声に反応し、思わず腰を揺らしたルートヴィッヒをレジーナの熱のある目がぼんやり見つめている。
「これ以上はいけない。ジーナ、今日も疲れたろう?いつもよく頑張ってくれている…俺も想像以上の激務だが君に助けられているし、こうして癒されている…好きだ、ジーナ」
「ルト様、私も好きです…もうキスはおしまいなのですか?」
ルートヴィッヒはまたしてもぐっと喉を鳴らすと、レジーナが悪い事でもしたかのように咎めた。
「誘うな。俺の我慢、君にわかる?それとも君も本当は我慢できないとか?…ってまたわからない顔を。今日はもう寝るんだ。さあ目を閉じて」
彼女の上からどくと、上掛けをかけてやりそっと髪を撫でる。
数回撫でただけで、恍惚の表情は消えあどけない顔になった彼女は、目をとろんとさせた。
「いい子だ、ジーナ。おやすみ、良い夢を」
最後にもう1度だけ触れるだけのキスをすると、レジーナは眠ってしまった。
ルートヴィッヒはそんな彼女の寝顔に苦笑すると、入って来た時と同じように窓からそっと抜け出し自室へと戻った。
疲れてはいたがレジーナを思い出すと悶々としてしまった彼は、若い猛りを何度か自分で慰めた後、ようやく眠りについたのだった。
最初のコメントを投稿しよう!