23 蒼穹

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「ふあ…なんかこの本回りくどい。退屈」 「そうかしら?なかなか興味深いと思うけど」 「母上はもう読んだの?」 「ええ、せっかく贈っていただいたのだもの。それに“学校”の出身者なのですからこんな嬉しいことはないわ」 「ふーん…ねえ、もう今日の勉強は終わったよ。プレッツェルと遊びたい」 「庭で遊んでね。またこの間みたいにクライン・フェー(小さき妖精)を割られたら嫌よ」 「あれはぼくじゃないよ!プレッツェルが尻尾振り回すから!あ、待ってプレッツェル!母上行ってきます!」 「ちょっと、走るのは外に出てからにして!もう。お母様、お父様が今日は陽気がいいから外でお茶にしないかって。お体はどう?」 「大丈夫よ。でも元気が良すぎて…ほらまた」 「え、触りたいです!」 「ほらこの辺、ここ」 「動いてる!」 「あなたもかなり元気が良かったけどね」 「嘘よ。私はほら、こんなにお上品ですもの」 「ふふ、では今度おば様に見て頂かないと」 「そ、それはまだもう少し、いえうんと先で…ね、お父様がお待ちだわ。早く行きましょう。あー駄目、お母様はゆっくりね」  今日も賑やかな家族の声が王都の城に響く。  レジーナは庭に愛しい人の姿を見つけると、少女の頃から変わらない可愛い笑みを零した。  国王となったルートヴィッヒもそんな彼女を柔らかく抱きしめ、大きくなってきたお腹を撫でる。  彼らの頭上には無知な令嬢が逃げ出したあの時と変わらず、可能性を秘めた青い空が広がっていた。  高く、大きく、どこまでも無限に……  完
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