2 鉄格子のはまる窓

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 やはりあの家令、隠しているな。  ならば。 「隊長、俺も手合わせ願いたい」  王子が訓練に興味を持ち騎士がざわつかせた。そして彼は、訓練に夢中になると夜を迎えてしまった。  家令は心の中で舌打ちしつつ、結局この王子をもてなし、晩餐と部屋を用意した。  だが武芸にもめでたい彼は終始騎士の話をしていたので、「結局は興味のあることにのめり込む子供」と完全に油断した。  夜、用意された部屋でくつろいでいたルートヴィッヒは、使用人も休む時間になると自分の内に宿る守護精に語り掛けた。 「プロミネーア。昼間俺が見ていた3階の部屋の様子を見て来てくれないか」  すると王子の目の前の小型の翼竜が現れた。大きさはカラスくらいだろうか。  固い鱗は鮮やかなヴァーミリオン。瞳はルビーのような煌めき。 「中に令嬢が一人いるかもしれない。守護精はフレイムリザードと聞いた」  小型のドラゴンは窓から飛び立つと、5分とかからないで戻って来た。 「いたわよ。可愛い子を連れていたわ」 「もう寝ていたか?」 「いいえ、夜着ですらないわ。でも部屋の明かりは消していたわよ」 「寝たふりでもしているのか?気になるな。朝まで見張っててもらえるか?」 「いいわよ。ルトはちゃんと寝るのよ?広くてふかふかのベッドなんて久しぶりじゃない?」 「別に俺はお前の背中だって寝られるが」 「あら、頼もしくなったものね。最初に野営をした時のあなたに聞かせてあげたいわ。それじゃあおやすみ坊や」  そう言うと彼女はまた窓から飛び立った。「坊やはやめろ」という声はもう届かなかった。  プロミネーアに言われた通りベッドで休み、どれくらいたった頃だろうか。  彼女が戻った気がして目を覚ませば、案の定椅子の背もたれに降り立つ瞬間だった。  ベッドで横になったまま彼女に向き直ると、小声で「どうだった?」と聞いた。 「女の子が一人、外に出て行ったわ」 「出て行った?扉からか?」 「いいえ窓から」 「3階だぞ?」 「そうね。いくら守護精で強化していても、飛び降りるのはお勧めではないわね」 「飛び…ただの怪我じゃ済まないぞ!?」 「器用に植え込みに落ちていたわ。それでも痛いとは思うけど。でも大事なのはそこじゃない。あなた、馬を盗まれたわよ」 「は?」
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