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プロミネーアの話によると、外に出た令嬢はまず厩舎に向かったらしい。しばらくすると出てきたが、馬丁の服でも盗んだのか男装に変わっていたそうだ。そして乗っていたのはルートヴィッヒの馬。
「部屋はどんな様子だった?」
「窓に鉄格子がはまっていたわ。それが1本壊されてそこから出たのね。部屋の中も見たけど、扉は内側から開かなかったわ。幽閉されてたみたいよ?」
「わかった。じゃあそのまま彼女の傍にいてくれないか?俺は明日の朝追いかける」
「あと3時間程で日の出よ。ちゃんと寝なさい?」
ルートヴィッヒはプロミネーアが飛び立つと窓を閉めた。
「病弱か…」
彼はそう言うとベッドに戻り、日が昇れば何食わぬ顔で朝食の席に着いた。
あの家令はどこか心ここにあらずという感じがしたが、理由が分かっているのでルートヴィッヒは何も言わない。
そして朝食後馬丁が首を切り落とされる覚悟で謝りに来たが、ルートヴィッヒが「咎めるつもりはない」と言うと侯爵邸でよく訓練された一番の名馬を寄越した。
邸を出ると、彼はプロミネーアを追いかける。南の方にいるのがわかる。そちらは侯爵邸から一番近い大きな街があるので、そこへ向かったのだろう。
彼もその街を目指し早速馬を飛ばした。
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