3 良い人に拾ってもらいました。

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3 良い人に拾ってもらいました。

「どうしよう、どうしよう。街の近くまで来たのはいいけど、私これからどうしたらいいの?」  自由に胸を膨らませ夜中に馬を飛ばした――と言うよりしがみついてきたレジーナは、街の近くにある森の中で一晩明かした。  明かしたと言っても寝たわけではなく、時折何かの生き物の鳴き声に怯えながら馬と、そしてプレッツェルに身を寄せ震えていたのだが。  厩舎には馬丁の私物もあり、そこから少年用らしい服を拝借したレジーナは髪をまとめあげキャスケットの中に収めた。ブラウスとキュロット、上からベストとジャケットを羽織り、やや大きいが作業用らしき長靴を履けば、一応少年ぽく見えた。  女性の身でうろつくのはあまり良くない気がした彼女は、本の真似をして男装したのだ。  金目の物はなかったが鞄に転がっていたナイフと置いてあったランプを詰め込み、一番大人しそうに見えた馬になんとか鞍を乗せるとひっくり返したバケツの上からよじ登りここまで来たのだ。  だが街は眼前に見えるものの、社会に全く出たことのない彼女はここからどうすべきか見当がつかなかった。 「このままじゃまずいわよね。お金もないし」 「お金もだけどさ、ここは侯爵邸から一番近い街だよ?もう少し離れた方がよくない?」 「確かにそうよね。でも次の街はどこかしら。前に見た地図だとここから東に行ったところにあったけど、距離がどれくらいなのかわからないわ」 「領地を出ちゃえば?」 「そうしたいけど、どこをどう行けばいいのか…」 「でもここにいたらなーんも始まらないよ」  レジーナは「そうよね」と呟くと、プレッツェルを体に戻した。  そして馬の手綱を引き、恐る恐る街へと近づく。街は外周を城壁で囲まれているので、どうしたって門を通過しなければならない。  大丈夫。  平静を装って。  馬丁の少年が馬を連れていたって何もおかしくないわ。  まだ朝も早い時間。それほど人の往来はなく、少し離れた所で見ていれば入って行ったのが1人、出て行ったのが3人くらいだ。  彼らは門番に止められることなく自由に出入りしている。  よし、私もやれる。  レジーナは深呼吸をした後、意を決して進んだ。
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