15人が本棚に入れています
本棚に追加
その翌日。
もしやとは思っていたが、やはりそうだった。
お昼に真奈美が現れたのだ。
今日はなんと、弁当を持参している。
「千博先輩! 一緒にご飯食べましょ!」
「おいおい、クラスに友達いるだろ? 一緒に弁当食べないと、女子の世界では仲間はずれにされたりするんじゃないの?」
「うふ。心配してくれてありがとう。だいじょうぶ! 私、そんなにべったりした友達とかいないから」
「いやいや、クラスの友達は大事にしておけよ」
「じゃあ、なんで千博先輩は一人で食べているんですか?」
痛いところを突かれた。
「まぁ、俺は……いろいろあって、一人がいいんだよ」
「ふ~ん……じゃあ、私もいろいろあって、先輩と一緒に食べたいです。では、いただきま~す」
そう言うと、真奈美は俺の横に座って弁当の包みを開き、食べ始めた。
「見てください。私のお弁当、おいしそうでしょ? 毎日、自分で作っているんですよ!」
「そ、そうなんだ……じょうずだね……」
なんだか、真奈美のペースに飲まれてしまっている自分がいた。
中庭は人通りは少ないが、それでもたまに誰かが歩いていて、俺たちの方をジロジロと見てくる。
「さて、聞かせてください。どうして続きを書かないんですか? ネタ切れですか?」
「失礼な! ちゃんと考えてはあるさ」
「ですよね。じゃあ、書いたらいいじゃないですか。私、読みたいです!」
「すまん。俺は書かない」
「どうしてですか!」
「それは秘密なんだ……」
「……」
そうこうしているうちに、昼休みは終わってしまった。
「じゃあ、明日も一緒にお弁当、食べましょうね!」
むむむ……
完全に真奈美のペースにはめられている……
最初のコメントを投稿しよう!