もう小説なんて書かない

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その翌日。 もしやとは思っていたが、やはりそうだった。 お昼に真奈美が現れたのだ。 今日はなんと、弁当を持参している。 「千博先輩! 一緒にご飯食べましょ!」 「おいおい、クラスに友達いるだろ? 一緒に弁当食べないと、女子の世界では仲間はずれにされたりするんじゃないの?」 「うふ。心配してくれてありがとう。だいじょうぶ! 私、そんなにべったりした友達とかいないから」 「いやいや、クラスの友達は大事にしておけよ」 「じゃあ、なんで千博先輩は一人で食べているんですか?」 痛いところを突かれた。 「まぁ、俺は……いろいろあって、一人がいいんだよ」 「ふ~ん……じゃあ、私もいろいろあって、先輩と一緒に食べたいです。では、いただきま~す」 そう言うと、真奈美は俺の横に座って弁当の包みを開き、食べ始めた。 「見てください。私のお弁当、おいしそうでしょ? 毎日、自分で作っているんですよ!」 「そ、そうなんだ……じょうずだね……」 なんだか、真奈美のペースに飲まれてしまっている自分がいた。 中庭は人通りは少ないが、それでもたまに誰かが歩いていて、俺たちの方をジロジロと見てくる。 「さて、聞かせてください。どうして続きを書かないんですか? ネタ切れですか?」 「失礼な! ちゃんと考えてはあるさ」 「ですよね。じゃあ、書いたらいいじゃないですか。私、読みたいです!」 「すまん。俺は書かない」 「どうしてですか!」 「それは秘密なんだ……」 「……」 そうこうしているうちに、昼休みは終わってしまった。 「じゃあ、明日も一緒にお弁当、食べましょうね!」 むむむ…… 完全に真奈美のペースにはめられている……
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