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episode7
「私は、岸 恵。名前聞いたら分かった?」
岸、か……クラスにそんな人がいたような……
「え、あ、まぁ」
「分かってない……?」
「いや、分かってますよ!クラスメート、ですよね?」
恐る恐るそう言ってみると、岸と名乗ったその女性は険しい顔をしてこっちを見た。
「はぁ……無難な答え言っておけば当たるって思ってるでしょ」
「……ギクッ」
「どうせそんなとこだろうと思ってたよ」
「ごめんなさい」
「あんたと同じ、三年一組の学級委員です」
「あ、はぁ、なるほど」
嘘だろ……?
仕事の相方の名前も、ましてや顔も覚えてないなんて……
「そんなあなたに学級委員なんて務まるのかしら」
「すいません」
うるせぇなーこいつ。
挨拶されたときは、もうちょっと丁寧な人だったはずなのに……
「用事頼もうとしてたけど、先にクラスメートの名前を覚えるところからだね」
「え?覚えないといけないd……」
「当たり前でしょうが!?」
「声大きいですって!」
「ごめんごめん。じゃあ、明日までに名前覚えてきなさいね?」
「は、はぁ……」
「それと、明日は七時三十分までに学校に来ること」
「はぁ……」
なんでお前に命令されなきゃいけねぇんだよ
「分かった?」
「……はい」
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