震えるエルフ

　みんなは「エルフ」って知っているだろうか？　　　
　僕みたいにファンタジーものをよく読む人ならきっとわかるだろうか。
　わからない人のために一応説明しておくと、元々は北欧の神話や伝承に出てくる妖精のことで、世界的に有名な某ファンタジー小説への登場を発端に知名度を上げ、そこから某有名RPGなどへと派生して、今では知る人ぞ知る存在・概念となった架空の種族のことだ。
　一般的な認知としては、人型で顔は美形、小柄で華奢な体格をしており、肌は白く、大きく尖った耳を持ち、とても知性的な存在……といったイメージで共通しているだろうか。
　そもそも、なぜ僕がエルフの話題なんかを出しているかというと、今一番気になっている人が、まさしくそのエルフみたいな特徴を備えているからだ。
　アルビノという先天性の体質のため、髪から肌まで全てが透き通ったように白く、まるでルネッサンスの絵画の中から飛び出してきたような彼女ーー進藤由良(しんどうゆら)は、今まさに僕の目線の先で、小さくうずくまってがくがくと震えていた。