色の灯をさがして

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 私は生まれたときから周りと違っていた。私が見ている景色と、みんなが見ている景色は違う。そんなことを考えるようになったのは、お母さんからの一言だった。 「香澄(かすみ)、リンゴは赤色だよ?」  あかいろ。なぜそんな名前がついているのかわからず、お母さんの言うとおりに赤色と書かれたクレヨンを手に取った。  お母さんに買ってもらった色鉛筆やクレヨンは、なぜ同じものがたくさん連なっているのだろう。全て同じものなのに、なぜ一つ一つに名前があるのだろう。その答えは、あの一言でわかった気がした。私は、「色」というものがわからないのだと。
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