青春なんだ!

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「そうだったんですね。」 俺達の時とはだいぶ違う。今はカップルでエントリーするのが当たり前だし、カップルでのグランプリを目指すことに醍醐味みたいなのがある。 「でも集計作業がめちゃくちゃ大変だったみたい。男子は貴島くんがダントツだったからまだいいけど、女子はかなり票が割れて20人くらいがほとんど同じ得票数で2票の差で私がグランプリに選ばれたんだよ。」 瀬川さんで2票差って…。 かわいい女子がいっぱいいたのかな。 「貴島さんはやっぱりモテてたんですか?」 俺が言うと瀬川さんはうなづいた。 「そりゃあのルックスだからね。すごく優しいし、気が利くし。みんな好きになるよね。私もそのうちの一人だったし。」 「え!?じゃあもしかして、当時貴島さんと瀬川さんって…」 俺と萌香みたいに付き合っていたのか?それなのに松田なんかに恋しちゃったのか? 「ナイナイ!貴島くんは当時すでに絶賛片想い中だったから。私それに気づいちゃったんだよ。だって好きだったらやっぱり目で追うじゃない?そしたら貴島くんは“あの人のことを好きなんじゃないか”って気づいてね。」 そう言えば貴島さん、同じグランプリの子に片想いを言い当てられたって言ってたな。 でもそんな裏話があったなんて。 「なんか、切ないですね。好きだからこそ、相手の片思いに気づいちゃうなんて…」 「それがそうでもないのよ。」 瀬川さんはメガネを掛け直しニヤリと笑った。 なんか色っぽいを通り越して怪しい微笑みだ。 「違うものに目覚めたから私。それが今の仕事にも繋がってる。」 「違うもの…って?仕事は、確か瀬川さんは漫画家なんですよね?貴島さんから聞きました。」 俺は意味が分からず訊いた。
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