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最終話 未来へ①
ガイザーの街を出てすぐに、僕は補助魔法をかけて一気に走り抜けた。行先は村を三つ程超えた先の少し大きめの街だ。流石に一日では辿り着けないから途中野営することになる。
走る僕の首には母さんの形見のネックレスが揺れている。
「よかったな、無事に取り返せて」
並走しながら、クラウスがそのネックレスを見つめて優しく笑ってくれた。
「うん。これで僕の過去にあったことは全部清算出来たよ」
僕はアクセルがどんどん不幸になっていくことを知っていた。その上更にアクセルの子種が死ぬ呪いをかけた。別れ際、アクセルの手を握って別れの言葉を告げたあの時に。
思った通り、とんでもない人生を歩むことになったアクセル。レジーナとの結婚も上手くいかず、村に帰っても不幸に見舞われ、その後も何をやっても上手くいかない。そしてその全てを僕のせいにした。
確かに僕も呪いという仕返しをしていたからあながち間違ってはいない。だけど自分のことだけを考え、人を騙し裏切ったことに反省もしていないんじゃ救いようもない。
「だがあんな大金渡して本当によかったのか?」
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