最終話 未来へ③

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最終話 未来へ③

 因みに魔法石は主人に対しても牙をむくことがある。主人として相応しくないと判断した時は、不運を招くようになるんだ。  僕の手元に戻って来たネックレス。この子に主人として見てもらえるよう、僕自身も気を付けないといけない。とはいっても、非人道的なことさえしなければ大丈夫なんだけどね。 「あのクソ野郎がメルヒオールを大きく傷つけたのかと思うと、今でも殺してやりたい気持ちが収まらない。だけどその過去があったから俺はメルヒオールに出会えたんだ。そう思ったら複雑な心境だ」 「そうだね。僕もクラウスに出会うまでまた誰かを好きになれるなんて思わなかった。ずっと一人で旅をしていたけど、本当は寂しかったんだ。皆僕を持て囃してくれるけど、僕の心に寄り添ってくれる人はいなかったし、僕もそんな人を作らないよう遠ざけてた。クラウスだけだったんだよ。僕の閉ざした心を開いてくれたのは」  だから僕が傷つけられたのはなるべくしてなったこと。クラウスに出会う為の布石。 「だから、ありがとうアクセル。僕を裏切ってくれて」 「ははっ。なるほどな。それなら俺も感謝を伝えておかないとな」
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