クラウスside⑤

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クラウスside⑤

 途中メルヒオールの匂いがもの凄く薄くなった。だが、わずかに残るメルヒオールの魔力の匂いを感じ取り、その方向へ一気に駆け出した。メルヒオールも俺から逃げるためなのかわからないが、補助魔法をかけて走っているようだった。だがそのおかげでより匂いを感じることが出来るため助かった。  ほとんど眠らず必死に走り続け、メルヒオールを追いかけて三日。メルヒオールの匂いが強く残る街にたどり着いた。間違いない。メルヒオールはここにいる。  急いでメルヒオールを探さなければ。街を歩いてその姿を探そうとするが、周りからの不躾な視線に気が付いた。ふと気が付けば俺はかなり汚れていて酷い姿だったことがわかる。ほとんど眠らず三日走っていたため仕方ない。だがこの姿でメルヒオールに会うのは気が引けた。  近くにあった安宿へととりあえず入り、さっさと風呂に入ろうと決める。受付では隠すことなく俺を迷惑そうな顔で見られたがどうでもいい。浴室へと向かい手早く汚れを落としていく。水気を取るのもほどほどに服を着ると、また外へと出てメルヒオールの匂いを辿ることにした。
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