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ずっと一人で暮らしてきたから、気づけば毎日の生活は実に味気ないものになっていた。
男だてらに料理は好きだ。元々母の手伝いで進んで台所に立つことが多く、料理番組やレシピ本なども興味津々で見ていた。
上京し一人暮らしになって、これからは自分の好きなものをたくさん作って食べるんだ!とウキウキしていたものだ。
数をこなせば当然たくさんの失敗もした。でも楽しくて仕方がなかったし、失敗は糧になって美味しい料理へ変わっていく。
社会人になって激務に追われるまでは。
楽しみだった料理の時間も取れず、体力の維持のために喉の奥へ流し込むだけの日々。
たまの休日も、疲れでほとんど眠っては、レトルトや弁当を買っていた。
食べることは、俺にとっては生きる活力になる大切なものだった。
もうどれだけ、作ったご飯を食べていないのだろう。
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