走る、光射す方へ

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 まぶたの裏に光を感じた。 「桔咲、起きなさい」  ママの声がした。どうやらママが入ってきて、部屋のカーテンを開けたようだ。 「今日はちょっとお寝坊ね。急いで下におりてきなさいね」  そう言うとママは出て行く。  ……え? 夢?  あたしはベッドで一緒に寝ている、くまのぬいぐるみを確認する。 「チャップ?」  もちろん、彼は何も話さない。  でもあたしは、チャップのモコモコの手を握りしめていた。  そして、頬にうっすら流れている、涙も感じ取った。  半信半疑で、ベッドから起き上がり、いつも顔は見ないようにしている部屋の隅の立ち鏡をおそるおそる覗いてみた。  ……ウソ。あざが、消えている……。  ピカピカとそこだけが光っていて、紫色のものなんて何もない。  本当に? これは、夢の続き? 「桔咲! 早くしなさい!」  階下からママの急かす声が飛んできた。  あたしはもう一度頬を確認すると、うきうきの気持ちとどきどきの気持ちで、支度を始めた。
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