走る、光射す方へ

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「随分伸ばしたねー」  そして、放課後。  奏多ちゃんと友田さんと3人で下校した。  お友だちと下校、憧れだった。  ずっと憧れていた。  仲良し同士で帰る他の子たちを、長い髪の毛のベールを通してずっと見ていた。  それが、叶った。  拍子抜けするほど簡単に現実となった。  あざがなければ、あたしだって、こういう時間を過ごすことができたんだ――。  自分の過去を少し呪ったけれど、今は幸せだったから、そんな気持ちも吹き飛んだ。  奏多ちゃんが私の前髪を櫛で梳かして、感心したようにも呆れたようにも言う。 「いつから切ってないか思い出せないよ」 「いい機会だったね。ちょうど春だし」  友田さんがママの出してくれたバニラのカントリーマームを口に頬張りながら言う。  ママってば、私が友だちを連れて帰宅したことに目を丸くし、たくさんの飲み物とお菓子を出してくれた。  チョコ、クッキー、おまんじゅう、おせんべい、そして稲荷寿司まで。  飲み物も色んな種類のペットボトルに、熱い紅茶に、熱い緑茶。  もうちょっとしたパーティみたいだった。  私は広げた新聞紙の上に正座して、奏多ちゃんに向き合っている。  あたし、もっともっと変わることができるのね。  そうして自信が持てたら、いつかは恋……なんてこと、できるかもしれない。 「じゃ、切っていくよー」 「お願いします」  あたしは少し頭を前に傾げた。 「ああ、ちょっと緊張するけど、思い切って」
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