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「あざが……」
頬にある、紫色のあざが、そこに復活していた。
え? どうして? 消えたんじゃなかったの?
思わず手で押さえる。
「どうしたの?」
「大変身だね」
私の様子をよそに、ふたりは喜色満面だった。
「あ……あの……」
私はふたりを見る。
「この、あざ、ずっとあった?」
「え? あったけど」
「いつから? 朝の教室でもあった?」
「あったよ」
平然と応えるふたりに、私は哀しい気持ちでいっぱいになった。
「何で? 何であるの?」
プチパニック状態だ。
「おキサキさま、どうしたの?」
「ずっと黙ってたの?」
「何のこと?」
「あたしの頬にあざがあるって、そのこと、何も言わなかったの?」
ふたりは顔を見合わせて、そしてあたしを見て、戸惑った様子だ。
「だって、ずっと前からあったんでしょ」
「そうだけど! でも今朝は……、今朝は」
鏡で見ても、何もなかったのに。
ようやく呪いから抜け出せたと思ったのに。
「一体どうしたの?」
奏多ちゃんが立ち上がって、あたしに手を差し伸べる。
あたしは思わずそれを、パッと払いのけた。
「どうして髪切っちゃうの!? ずっと隠していたかったのに……!!」
友田さんは飲み食いの手を止め、奏多ちゃんは呆然と立ち尽くす。
「だってその方が可愛いと思ったから」
「実際印象変わったし」
「うああああああん」
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