消えた同僚

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 そんなことが過る。彼女がどこで産まれて育ったかは知らない。小さい頃は埼玉に住んでいた話は聞いたことがあった。故郷を懐かしんでその土地の童謡を聞くなら、納得出来た。 「いや、もう一人長野県出身の人がいた。もしかして!」  私はごくりと喉を鳴らした。 ****** 「先生! 先生!」  出勤するなり、慌ただしく荻野先生を探した。 「なんだね、騒々しい」  先生は面倒くさそうな返事をした。酒井さんが三谷さんの代わりに紙コップを置いたり、道具を整えたりしている。
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