新世界

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ある朝、目覚めると犬になっていた。 かの有名な『変身』のパロディではない。 どこからどう見ても犬だ。 …なぜに? とりあえず、起き上がって周囲を確認する。病院でも、自分の部屋でもない。そもそも屋内ですらない。とってもオープンなところで、屋根すらない。どこだここ。 けど、そんなことがどうでも良くなるくらいにいい匂いがした。 近寄ってみると、ゴミ箱だった。 中には、諦めが悪く肉がこびりついたフライドチキンの骨と、食い散らかされたピザ。 もちろん食べる。 …………………っっはあ!? な、何やってんだ俺はああああ! 誰が食べ残したかも分からないきったない生ごみを、食べる?え? …でも、おいしそうだなあ。 口からダラダラと、唾液がこぼれ落ちる。ボタボタと、唾液が滴る。 理性が追いつく前に、いつのまにか、もう、喰らい付いていた。 味はしなかった。 生きるためのエネルギーが補給される猛々しい音だけが聞こえた。
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