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とりあえずあてもなくふらふらと彷徨っていると、野良犬がたむろっている場所を見つけた。
この場合、自分は仲間とみなされるのか?それとも敵とみなされるのか…?
そろそろと近寄り、おっかなびっくり声をかける。
「………」
喋れなかった。その代わり仲間に入れて欲しそうオーラだけが出た。
くそう、犬語が勝手に喋れるようになればいいのに…
その時。ゆっくりと、ずっしりとした動きで、大きな犬が近づいてきた。
シベリアンハスキーに近いように見えるが、こげ茶色っぽい毛並みと、険しい顔つきから察するに、雑種だろうか。屈強な体つきで、少し開いた口腔からは鋭い牙が見え隠れしている。そして、眼光宿る鋭い眼ーー
袋叩きにされないか不安だ。
『……え、何お前、俺たちの仲間に入れてほしいん?えー新メンバーとかまじ
おひさなんだけどテンアゲ〜〜〜』
ギャルだった‼︎‼︎
しかも相手の言葉はわかるのか…一体なんなんだ。とりあえず仲間には入っとくか…俺はぶんぶん首と尻尾を振った。ついでに腹を見せて寝っ転がった。犬で言う、降参のポーズのはずだ。
『……?』
『……?』
『……?』
いや通じねえのかよ!
変人(変犬?)と思われたじゃねーか。誰だよこの事実発見したやつ!
『………………と、とと、とりま、今から集会あるからついておいでおくんなま
し』
おくんなまし?変な言葉だなぁ。いや、相手からしたら俺の方が変なのか…。
屈辱である。
とりあえずボス犬の後をてくてくとついていった。
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